前田敦子ら4人のヒロインが躍動し、爆発する映画「もっと超越した所へ。」

前田はじめ、女優たちの演技も素晴らしい。男の身勝手さを跳ね返せずに堪えている真知子の姿は健気でいじらしいが、そんな前田の抑えた演技が後半での「爆発」を生かしてくれるのだ。特に乃木坂46出身の伊藤の演技は、かつての清純派のイメージを見事に覆すものであり、秀逸だった。根本の舞台に出演していることもあり、見事に世界観にはまった感がある。物語の後半で感情を爆発させる場面での趣里と黒川の演技も大いに共感できるものだった。

物語は、終盤に向けて大いに動いていくのだが、最後にダイナミックな結末が待っていて、見る者をいい意味で裏切ってくれる。そんな爽快感も得られる魅力十分な作品だ。元来女性は強く、男は弱い生き物であるとも言われる。それでもどんなに強い女性にも弱いところはあり、男にそれを受け止めてほしいとも願っているのだ。どんなダメ男でも、そんな女性の弱さを受け止めることができるなら、それだけで存在価値があるのかもしれない。そんなことを考えさせてくれる映画「もっと超越したところへ。」が、ＷＯＷＯＷで放送される。「痛い」セリフも満載で、軽快なテンポ感も楽しく、大胆なストーリー構成で画面に引き込まれるはず。そしてクライマックスのカタルシスにも魅了されることだろう。女性脚本家が描き、4人の女性がヒロインではあるが、本作はむしろ、すべての男に見てほしいような作品である。
ちょっと意味深なタイトルにどのようなメッセージが込められているのか、視聴者がそれぞれ感じ取るべきなのだろうが、最後に演出自体にも驚くような仕掛けがなされているので、見る者を「超越したところへ」連れて行ってくれる映画であるという単純な解釈もできることを付け加えておこう。

文＝渡辺敏樹

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