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そして、リストの目を覚まさせ「ほんとうに目指すべき方向」へいざなう救世主となるのが、本作のヒロイン、マリー・ダグー伯爵夫人(星風まどか)である。タイトルの「巡礼の年」も、リストとマリーが共に過ごした日々から生まれたピアノ曲集の題名だ。だが、リストを支えるもう1つの極である「野心」が首をもたげたとき、2人の関係にも変化が訪れる...。
この作品はSNSに振り回される現代人への問題提起もはらんでいるようだ。音楽が市民に開かれた19世紀前半に生きたリストは、市民の圧倒的な人気を勝ちえながらも、その人気に縛られ続ける。その姿に、イイネやフォロワー数に一喜一憂する私たちの姿が重なって見える。
東京公演は中止期間も長かった作品だけに、放映を心待ちにしていた人も多いだろう。盛りだくさんで広がりのある作品なので、映像で見ると、また新たな気付きもありそうだ。
文=中本千晶









