間宮祥太朗のまっすぐな演技が胸を打つ!明治後期、差別に苦悩する青年を演じた名作「破戒」

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

時代は明治後期。被差別部落出身だということが周りに知られたら最後、職を追われるのはもちろん、住んでいるところからも立ち退かないとならなくなってしまうという時代。子供にも大人にも分け隔てない態度で接する丑松(間宮)は、クラスでも「瀬川先生」と慕われる存在だ。言葉遣いも所作も美しく、穏やかな性格だが、誰にも自分の出自を明かせないまま、教師として働いている。

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丑松は「人間はみな等しく尊厳を持つものだ」と主張する被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)の本に感銘を受けているが、そんな丑松を同僚の銀之助は、「あまり思い詰めない方がいい。一本気なところは師範学校時代から変わらんな」と心配している。そんな心配もよそに、丑松は猪子に読者として何通も手紙を書き、やがて2人は実際に会うことになる。

出自を本の中で明かし、自身の考えを堂々と語る猪子に丑松が感動し、キラキラとした目で「どうしたら先生のように強くなれますか?」と問いかけ、人間の差別について意見を交わす場面は非常に印象的だ。信念を持つ猪子に、丑松は自分のことを打ち明けようとするが、頭にこびりついて離れないのは、子供の頃に父親から言われた「身を立てるため、素性を隠せ」という教え。濁りのない心を持つゆえに悩む青年の切なさが、間宮の視線や表情から伝わってくる。

■恋をした女性にも自分の本当の気持ちを言えないもどかしさ

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寺に下宿している丑松は、下宿先の士族出身の志保(石井)に恋をする。しかし、2人が結ばれてほしいと願う養母から「志保のことをどう思っているのか」と聞かれても、丑松は身分が違うことに悩み、自分の想いをうまく伝えることができず、「どうしてそんなに煮え切らないんですか」と呆れられてしまう。恋のライバルも出現し、いろいろな思惑が絡み、戦時ムードが強くなる中で、やがて丑松の出自にも疑問が抱かれるようになっていく...。

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人間という普遍的なテーマに切り込んだ本作は、時代や人種を超えて刺さってくる作品で、第20回ニューヨークアジアン映画祭にも正式出品された。戦争で兄を失った生徒を涙ながらに抱きしめるシーンや、苦悩を超えて決断をした後に見せる透明感ある美しさなど、間宮のまっすぐな演技に胸を打たれずにいられない。

文=山本弘子

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放送情報【スカパー!】

破戒
放送日時:2024年5月2日(木)20:00~、2024年5月19日(日)13:00~ほか
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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