潜伏中の脱獄犯を演じるため、潜伏先ごとに別人の土木作業員、フリーライター、パン工場のアルバイト、介護施設の職員などに成り済ましている主人公を演じなければならないという、なかなかハードな役どころなのだが、亀梨は見事に"同じ人物が違った人物を演じているさま"を表現し、しっかりと核の部分で"鏑木"を残しているところがすばらしい。
注視すると、それを表現するに当たって亀梨がどれほど緻密な計算の上で演じているかが分かる。例えば、少し気が高ぶると右の口角を上げるという、癖とまではいかない細かい動作をまぶすことで、時折"鏑木" が顔を覗かせるなど、よく観れば観るほど楽しませてくれる伏線を"鏑木"の中に散りばめているのだ。気付けば気付くほどに亀梨の役への掘り下げ方と向き合い方が垣間見えて、高次元の演技に魅了されていく。
各所で人々を救いながら逃げ続ける鏑木の目的と行く、亀梨が随所に散りばめた役の共通要素を探してみてほしい。そうすれば、より作品の"沼"にハマること請け合いだ。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
連続ドラマW 正体
放送日時:2024年7月14日(日)17:00~ ほか(他)
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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