美空ひばりの子役時代の出演映画「母を慕いて」で見る、彼女の大スターたるゆえん

(C)1951 松竹株式会社

中でも、ポイントは彼女の持ち前の愛らしさだ。ハッとするような周りを緊張させる美人ではなく、観る者を安心させて思わず愛でてしまうかわいらしさに、つい目がいってしまうし、誰しもが親心を抱いてしまう。この天性の"人たらし"な部分が、弥生を"かわいそうな子"に見えないようにしていて、人情喜劇としての屋台骨を支えている。一方で、鼻歌や歌唱するシーン、舞妓の踊りを踊るシーンでは、ハンパないオーラを発出。"愛らしい女の子"からガラリと変わって"桁違いの存在感を放つアーティスト"に変貌する。

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このギャップは必見!美空ひばりのスター性が一番感じられる場面であるし、画面を通してオーラが変わる瞬間を目の当たりにできるからだ。役柄としても、夏江に「素晴らしい舞妓にしたい」という夢を抱かせるほどのポテンシャルを持つ娘役でもあるので、「ただの親バカではなく、料亭を持つ女性の眼鏡に適う」という意味でも、説得力をもたらしている。

コンサートでの圧倒的な存在感だけで彼女のすごさを分かったつもりになるだけでなく、映像作品の中での普通のシーンと歌唱シーンとのギャップから、美空ひばりという大スターの大スターたるゆえんに触れてみてほしい。

文=原田健

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放送情報【スカパー!】

母を慕いて
放送日時:8月1日(木)20:00~
放送チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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