宮沢りえが複雑な演技で、人生の歯車が狂い追い詰められていく主人公を体現!池松壮亮大島優子共演「紙の月」

(C)2014「紙の月」製作委員会

人はいいが鈍感な夫に、カチンときても言いたいことを呑み込んでしまう性格の梨花(宮沢)。そんな梨花が顧客の平林に誘惑され、危ういところを止めてくれたのが平林の孫・光太(池松)だった。その後、偶然、駅で再会した梨花と光太は、年の差も忘れて本能的な恋に堕ちる。美人だが装いは地味だった梨花は、光太と会うために仕事終わりのロッカーで派手な口紅を塗るようになり、ショーウインドウを見て、真っ白なコートを購入。その変化に気づき、忠告してくるのがちゃっかりした性格の同僚・相川(大島)だ。隠れて不正を働くようになった梨花に気付いているかのように、梨花の雰囲気が変わったことを指摘し、顔を近付けて「毎日、お金触ってると変になりそう」と挑発してくるシーンは小悪魔的。

一方、学費が払えない苦学生の光太は、本心では何を考えているのかわからない雰囲気を醸し出していて、池松の持ち味を活かした役柄といえる。光太の前ではセレブ妻を装い、これまで抑えてきた欲望を解き放っていく梨花は、罪を犯しているとは思えない笑顔を見せる。鬱屈していた女性が輝いていくさまを表現した宮沢の複雑な演技に釘付けになる。

■宮沢と小林の演技バトルに思わず息を呑む

勤続25年でこの道一筋といった堅物な雰囲気を醸し出す隅(小林)は、梨花や相川の仕事ぶりを観察し、教育係的側面を持つポジションだ。梨花が徐々に追い詰められていく中、横断歩道の前でフリーズしている梨花に後ろから隅が「渡るの?渡らないの?」と声をかけるだけで、サスペンス感がアップする。自由やお金について2人が人生観を語りあう場面では、映画のタイトルを想起させるセリフやお互いが見せる表情に意外性があり、宮沢と小林が人間くさい演技で観る者を圧倒する。

先の読めないストーリーはどんなエンディングを迎えるのか、宮沢を始めとする俳優陣の演技に注目しながら見届けてほしい。

文=山本弘子

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放送情報【スカパー!】

紙の月
放送日時:2024年8月23日(金)18:45~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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