人気絶頂だった薬師丸ひろ子の瑞々しい魅力が全開の映画「里見八犬伝」

滝沢馬琴作の「南総里見八犬伝」は、これまでも数多く映像化されてきたが、最新作として2024年10月に映画「八犬伝」の公開が予定されている。同作をベースにした作品としては、1983年に公開された映画「里見八犬伝」が名高い。原作に新解釈を加えて、人気脚本家の鎌田敏夫が書いた原作「新・里見八犬伝」を映画化したものだ。

特徴的なのは、里見家の姫で唯一の生き残りである静姫(薬師丸ひろ子)と八犬士の一人・犬江親兵衛(真田広之)とのラブロマンスをベースにした点だ。当時、映画界の風雲児と呼ばれた角川春樹が製作を担当。角川映画の看板女優だった薬師丸を主役に据えて、人気がうなぎ上りだった真田広之を相手役に選んだあたりおヒットの要因は十分だった。真田をはじめ、千葉真一率いるJAC(当時)による迫力あるアクションシーンも満載で、アメリカのロックシンガーであるジョン・オバニオンを主題歌に起用したことも時代劇としては画期的なことだった。従来の時代劇にはなかった斬新なアイデアを取り込んだ大型エンターテイメント映画に仕上がり、当時の邦画1位の配給収入である23億2000万円の大ヒットを記録。ちなみに、日本映画史上では、初めて特殊メイクがクレジットに表示された作品でもある。

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