田村正和が真田広之演じるメディアプランナーや、福山雅治によるメガネ＆白衣着用の化学者とスリリングな頭脳戦を繰り広げた「古畑任三郎」第３シリーズ

また、福山雅治も第8話「頭でっかちの殺人」に登場。車椅子の化学者・堀井という役で「犯人が殺害現場にいなかった」という異色のケースが展開する。

堀井は大手メーカー勤務の研究員。その会社には、大学の同級生であり、かつての恋人の恵(戸田菜穂)と親友・等々力(板尾創路)もそろって採用され、社会人になってからも友情は続いていたが、いつしか恵の心は堀井から離れ、恵は妻子のいる等々力と男女の関係に。それを恨んだ堀井は専門知識を活かし、遠隔的に等々力を殺そうと周到な計画を立てる。等々力は謎の爆発が起きて死亡。自宅でひとりきりだったが、古畑(田村)は、等々力が電話の子機を持って死んでいたことや、小さな像の裸足の破片が残っていたことに疑念を抱く。

福山は制作当時30歳。東野圭吾原作の「ガリレオ」シリーズで物理学者・湯川のイメージがつく前だが、メガネをかけ白衣を着た化学者役がさすがにハマっている。プライドが高く、ちょっと上から目線の言動も湯川役に近く、違和感なし。福山の場合、あまり悪役や敗者の役を演じることはないので、こういった犯人役は新鮮だ。

他に犯人役で出演したのは、市川染五郎(十代目松本幸四郎)、松村達雄、岡八郎、大地真央、市村正親、田中美佐子、玉置浩二、江口洋介。この第3シリーズは、古畑と部下たちの関係も見どころ。おなじみのおっちょこちょいな巡査・今泉(西村雅彦／現・西村まさ彦)とは正反対の有能な西園寺刑事(石井正則)がレギュラーで登場し、今泉の存在を脅かす。古畑の"相棒ポジション"をめぐる三角関係にも注目だ。

文＝小田慶子

この記事の全ての画像を見る