
(C)石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会
――阪元監督とはどういう会話があったのでしょうか?
久保「作り上げていくというよりも、その場で生まれるセリフがすごく多かったですね。居酒屋のシーンとかは特にそうで、会話をしていてポロッと出た言葉に『それ、いいですね!』ってなって、そのまま採用されたりしました。監督が一番楽しんでいたような雰囲気だったので、あらかじめ『こういうビジョンにしたい』という形で進めるというより、その場で生まれたものをどんどん取り入れていく感じでした。そういうやり取りをしながら、シーンが作られていくのがすごく新鮮で、めちゃくちゃ楽しかったです」
――監督ならではの演出もあったのでしょうか?
久保「いや、ほんとに楽しそうにされる方です(笑)」
平「まず監督自身が楽しんでるよね」
久保「カットがかかるときの監督の声が、笑いながらの『カット!』みたいな感じだったんですよね。それを聞いて、『あ、今すごく監督のツボにはまったんだな』って思いました(笑)。そういう感覚のやりとりがすごく楽しくて、ある意味、自由度がすごく高い現場だったなと感じています。途中からはもう『どれだけ監督を楽しませられるか』みたいな気持ちで演じていましたね」
平「冒頭の天丼を食べるシーンなんかは、何十回も繰り返しやって、セリフの言い方を変えたり、監督が言いやすいように調整してくださったりしたんですよ。ピートモスのメンバーといるシーンも、実際に本読みのときに監督が『最近面白いことありました?』とか『バイト時代のエピソードあります?』って聞いて、お兄さんたちが話していた実体験がそのまま活かされているんです。だから、あのシーンはほぼアドリブみたいなもので、ただ本当に自分たちの経験を語っているだけなんですよね。だからこそ、すごくリアルに感じられるし、ナチュラルな会話になっているんだと思います。あと、スタッフさん含め、みんなで一緒にいいものを作ろうという意識がすごく強かった現場だったので、本当にものづくりをしている感覚があって、とても充実していました」
――アドリブだからこそあの臨場感が生まれているんですね
平「酔っ払ってるシーンとかそうだよね」
――あのシーンも長回しでずっと撮ってたんですか?
久保「そうですね。しかも、カットがかかることなく、そのまま撮影が続いていくことも多くて、先の展開が止まらずに回り続けることもありました。その流れのまま演じたことで、より自然な空気感が生まれたように思います」
平「そうだね。酔っ払いシーンはほぼ監督からの指示はなかったかもしれない。やることは段取りぐらい(笑)。一番のハプニングといえば、二人でルカが載っている雑誌を見ている場面で、私がシェイクを飲んでたんですけど、うっかり倒してしまって。もう完全なハプニングだったんですけど、それがそのまま使われたんです。あれはまさにその場の流れから生まれたリアルなやりとりだったと思います」
映画情報
映画『ネムルバカ』
新宿ピカデリーほか全国公開中
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