バカリズムの脚本を活かす菊地凛子吉田羊平岩紙の好演!ドラマ「侵入者たちの晩餐」

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バカリズム脚本×菊地凛子主演のスペシャルドラマ「侵入者たちの晩餐」
バカリズム脚本×菊地凛子主演のスペシャルドラマ「侵入者たちの晩餐」

亜希子はバツイチで、生活のためスレーヌで働いていて、担当である掃除については強いこだわりを持っている。ある時、調理担当の恵と同じ家で作業し、一緒に帰ることになる。道を歩きながらの2人の会話は、どこにでもあるようなごく普通の会話だ。スレーヌが顧客獲得のためにゴミ屋敷の掃除まで引き受けているとか、給料が安いという愚痴のような内容で、亜希子は鬱憤を晴らすように、恵は嫌そうな様子を隠さずに喋りまくる。そして話が盛り上がってカフェに行った時に、社長の脱税の話が恵から飛び出し、タンス預金を奪おうという話に。

帰り道でもカフェでも、バカリズムの脚本らしいテンポの良い会話劇が展開される。タンス預金を盗もうと提案する恵の真っすぐな視線や、突然そんな話を切り出されて戸惑う亜希子の様子など、独特なテンポの中でも的確に人物の心情を伝える菊地と平岩の演技は見事で、それによってバカリズムの脚本の"妙"が活かされている。

そしてそんな普通の女性たちが、普通ではない侵入計画に挑むところに、本作の面白さがある。侵入計画に心を動かされた亜希子が、恵の心情を探るように遠慮がちに電話したり、決行を決めた後は合鍵を作るために亜希子と恵でなんとか鍵を盗んだりと、悪事慣れしていない様子が伝わってくる。

侵入した後も、玄関の豪華さに驚いたり、罪悪感を薄めるために掃除や料理を始めたりしてしまう。香奈恵も良い味を出していて、手持ち無沙汰な状況でソファで足をぱたぱたさせながら頬をぷっくりふくらませているシーンなどは、ついクスッとしてしまうほどだ。

菊地、平岩、吉田の3人の女優それぞれが、自然体で"普通の女性"を演じながらも、やっていることは"侵入"というギャップについ引き込まれてしまう。また、3人がそうした"バカリズムワールド"をしっかり構築しているからこそ、本作がより面白いものになっているのだろう。

■吉田羊、白石麻衣が見せる終盤の迫真の演技も必見!

しかし、状況が二転三転するのがサスペンスの常。物語が進むと新たな侵入者が現れるなど、さまざまなハプニングが3人を襲う。そんな中で、極限の焦りっぷりを見せる亜希子や、亜希子と共に自分たちを正当化しようとする恵、また、突然の侵入者に慌てる奈津美や、自分と奈津美の接点を知ってしまった香奈恵の怒りなど、それぞれが迫真の演技で物語を盛り上げていく。

果たしてこの侵入計画はどんな結末を迎えるのか。菊地、平岩、吉田、そして白石らの演技を楽しみながら、ぜひ最後まで見てほしい作品だ。

文=堀慎二郎

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放送情報【スカパー!】

侵入者たちの晩餐
放送日時:2025年9月21日(日)3:15~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:菊地凛子 平岩紙 白石麻衣 角田晃広 池松壮亮 吉田羊

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