山田裕貴、現場で譲らなかった"主人公の信念"「『絶対に嫌です』と...」映画『爆弾』インタビュー
俳優

――エリートの類家を演じる際、彼の「これまでの人生の歩み」を考えることもあるのでしょうか?
「ありますね。多分友達とも話が合わなかっただろうし、恋人がいたとしても、"考えてること薄っ!"と思っていたんでしょうね。たとえば、相手が腹を立てているときも、"人間の脳がこういう構造だから、本能的にそういう感情になっちゃうんだろうな"と冷静に頭で考えたり。勉強や仕事もできるから、上司にも"その仕事無駄じゃない?それをなんで警察のトップがやってんの?社会ってそういうもの?"と思ってる。そうやって"アホらしいな〜"と思いながら毎日生きているわけです。となると、人と関わらない方がいいんです。『腹いっぱいメシを食う』が幸せであることで、彼の人生が成り立っているだろうなと」
――類家と不気味なタゴサクの取調室シーンは、本作の見どころのひとつです。佐藤さん演じるタゴサクと対峙してみていかがでしたか?
「いろいろな表情であったり、瞳の奥に思っている感情だったり、タゴちゃんの"気持ち"が飛んでくるのを類家としてどう受け止めるかを考えていました。二朗さんはどう感じられたかは分かりませんが、『ただ台詞を交わしている』以上のことができたんじゃないかと思いますし、目だけで会話できたのが楽しかったですね」
――佐藤さんと対峙する前、なにか準備はされていたんですか?
「もちろん準備はしますけど、"準備して行ったらこうなっちゃった"という場面が多かったように思います。(類家はタゴサクの)様子を伺う場面が多かったので、流れのなかで生きられましたが、二朗さんは台詞量が多いし、決まりの動きもあるから、より準備が必要。類家よりも、タゴサクのほうが"表現"に対してのロジックはあるのかな、という印象です」

――タゴサクは並大抵の交渉人では太刀打ちできない相手です。なぜ類家は折れずに目の前にいることができたのだと思いますか?
「そこで諦めちゃったら、タゴちゃんと一緒になっちゃうからじゃないですかね。類家自身もタゴちゃんの一歩手前というか、ギリギリのところに立っていると思うんです。
それは僕もすごくよく分かることなんですよ。(劇中で起こっていることを)自分の日常に置き換えると、たとえば"スケジュール的に無理。現場に行かない。どうなってもいいじゃん!"と仕事をサボることはできますが、それをやると『あいつは来なかった。ワガママだ』となるし、守ってくれる人もいない。それを避けるために、自分を保つわけです。それができるのが類家であり、できなかったのがタゴちゃんというイメージですね」
――完成された作品をご覧になって、どんなことを感じましたか?
「メッセージ性のある作品だなと思いました。タゴちゃんみたいな人が現れないと、人は変われないんだろうなと思うというか。もちろん"(劇中で発生する)あんなこと"は絶対に起こってほしくはないですが、僕も含めて人間は、自分に悲しいことが降りかからない限り楽観視しているし、気づかないんだろうなと思うんです。なかでも、この映画のあるシーンを観て『ウッ...!』と思う人がたくさんいそうだなと」
公開情報
映画「爆弾」
公開日:2025年10月31日(金)
原作:呉勝浩
監督:永井聡
出演者:山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、坂東龍汰、寛一郎、渡部篤郎、佐藤二朗ほか
詳しくは
こちら









