これぞ劇場版ライダー作品の原点!本郷猛佐々木剛が演じる1号&2号の共闘が熱い!「仮面ライダー対ショッカー4Kリマスター版」

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(C)石森プロ・東映

■シリーズ屈指の人気悪役「死神博士」も登場する

撮影中の事故によって藤岡が負傷したことで、一文字隼人を演じる佐々木への主役交代がなされたが、本作は仮面ライダー新1号編への橋渡しの役割を果たした作品と言える。本作の後にもダブルライダーが共闘する場面は何度か見られるが、旧1号のコスチュームと2号が揃うのは本作独自のポイントであり、その意味でも貴重な映像だ。また、本郷がザンジオーに奪われそうな珠美の人形を手元に引き寄せる超能力を発揮する場面など、シリーズ本編で描かれていない特殊能力が披露される点も見どころと言える。本郷&一文字の息もピッタリで、公開当時はダブルライダーのカッコよさが全国の子供を興奮させた。

佐々木と藤岡は劇団NLTの同期で友人だったため、一度はライダー役のオファーを断っている。藤岡の役を取るのに抵抗があったらしいが、藤岡の復帰までという条件付きで出演した。千葉治郎は千葉真一の実弟で、仮面ライダー以外にも「ロボット刑事」や「アクマイザー3」など特撮作品や時代劇で活躍。企画段階でライダー役の候補にもなり、2号役で起用しようというプランもあったが、実現しなかった。脇役ではあるが、兄が率いるJACで鍛えたアクションは本物で、演技も上手く、画面映えする俳優だった。

天本英世演じる死神博士は、シリーズ中の悪役で屈指の人気を誇るキャラクター。本人はこの役に思い入れがあったものの、死神博士ばかり強調して自身を語られることを嫌った。そんなメディアの態度を批判しただけで、彼はこの役を心底愛しており、ファンに依頼されれば死神博士の似顔絵入りでサインに応じていた。大道寺博士役の伊豆肇は、東宝の二枚目スターを経て、後年は特撮作品の博士役を得意とした。特に有名なのが「人造人間キカイダー」の光明寺博士役である。また、ザンジオーの声を演じた辻村真人は、仮面ライダーシリーズの怪人役に欠かせない声優で、かまきり男、ドクガンダー、ムササビードル、ナメクジラ、カメストーン、ドクモンなど数多くを担当。V3,Xライダー、ストロンガーに至るまで人気怪人の声をあてている。

特撮ファンにはたまらない要素が満載の映画「仮面ライダー対ショッカー」。本編と同時進行で撮影されたため、スタッフや出演者は非常に厳しいスケジュールが組まれて、現場は過酷だったらしい。しかし、そんな裏事情をまったく感じさせない出来栄えで、満足度は高い。4Kリマスターで蘇ったことで、より価値が高まったと言える。令和の若い仮面ライダーのファンたちにも、黎明期の息吹のような本作の力強さを感じ取ってもらいたいと思う。

文=渡辺敏樹

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