
そして、長男の市郎を演じる三國は、三兄弟の中で最も情けない役どころを受け持ち、「情けなさ」「意地汚さ」「卑劣さ」といった、良い方ではなく悪い意味での"人間らしさ"を見事に表している。
次郎と三郎のある計画を主軸に描いているため、市郎の出番が増えるのは、弟2人が潜むかつて幼い兄弟の遊び場であった倉庫に駆け付ける場面からなのだが、そこからの立ち居振る舞いは圧巻。脅し、すかし、説得を試み、「保身」に全振りする市郎を演じながら、彼が積み上げてきたものの大きさとそれまでの苦労を想像させ、"観る者の感度を上げる"芝居で引き込んでいく。そして、ラストシーンの...これはぜひ作品で確認していただきたい。
三者三様の生き様と信念を持ち、相容れない3人がラストにそろい火花を散らす。この3人のパワーバランスが拮抗していないと成立しない展開で、3人の"名優"たちはそれぞれの役で芝居の攻防戦を展開し、きらめきあふれる化学反応を見せてくれている。
制作陣の挑戦的で野心的な高い熱量を感じながら、若かりし頃の"名優"たちの芝居が放つきらめきを堪能してほしい。
文=原田健









