(C) 2010 横山秀夫/光文社・東映
捜査を進め、事件の関係者と触れ合う中で、さらに倉石は多彩な表情を見せる。そしてそこから、倉石の人間性がより深く伝わってくる。
第1話で、被害者の娘が反抗的な態度を取って家を飛び出した時には、やるせなさそうなまなざしで見送る。また第3話では、被害者の息子とヒーローごっこをしながら、人懐っこい様子で楽しそうに笑う。そんなシーンの倉石には、事件に関わる人々への思いやりが感じられる。
また第2話では、捜査本部で決めゼリフである「俺のとは違うなぁー」と圧のある声で叫んで立ち上がり、さらには声を荒らげて捜査の誤りを指摘する。その時の堂々とした態度と声には、検視官としての自分の判断への自信と、真剣に真実を追求する"熱"が満ちている。
第5話で事件を解き明かす要素が揃った時、寂しそうに笑ってから目に涙を溢れさせたり、第6話のラストで声を震わせながら相手を諭すシーンなどは、人間味が感じられてついホロリとしてしまう。
(C) 2010 横山秀夫/光文社・東映
全話を通して、倉石の型破りな言動やユニークな表情、関係者への思いやり、真相究明への熱意がバランスよく配合されていて、それが観る者をドラマに引き込む要素のひとつとなっている。同時に倉石という個性的すぎる男を、熱くて情のある魅力的な人物に仕上げた内野の演技力はさすがと言える。
本作は16年前の作品だが、ストーリーの面白さは今も色褪せず、内野の芯のある演技にも強烈な存在感がある。多くの視聴者を虜にし続けるサスペンスの名作を、改めて今、楽しんでみてはいかがだろうか。
文=堀慎二郎











