高橋一生「グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜」はなぜ印象に残る?"静の演技"で魅せる芝居の真価

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高橋一生が料理人をシニカルに演じた「グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜」
高橋一生が料理人をシニカルに演じた「グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜」

(C)西村ミツル・大崎充/新潮社・テレビ朝日・MMJ

剛力が主演を務め、若くして官邸料理人に任命された変わり者のシェフ・くるみを好演している同作。高橋が演じるのは、突然やって来た彼女を敵対視する官邸大食堂料理長の清沢だ。

官邸料理人たちをまとめる自分ではなく、突然やって来たくるみが総理任命の官邸料理人となったのだから、清沢が敵意を抱くのももっともなのだが、2人は料理人という職に対しての考え方でもすれ違う。料理人の役割はあくまで「客に最高のもてなしをすること」であると考える清沢にとって、くるみのように「料理にメッセージを込める」ことは出過ぎたこと。しかし、くるみの言動に振り回されることはなく、清沢はいつ何時も自身の信念を貫くプロフェッショナルとして作中に存在する。

そんな清沢を高橋は、クールな佇まいとシニカルなセリフ回しで演じた。声を張ったり表情を大きく動かしたりということはあえてしない抑制した演技で、清沢が持つ"プロの静けさ"を体現。官邸食堂の現場での緊張感や、プロフェッショナルの格の高さが彼の演技から映し出されている。

また、清沢の心が揺れる場面でも高橋は大きなリアクションをするわけではなく、視線をごくわずかに動かしたり、反応を一拍だけ遅らせたりといったアプローチで、清沢の冷静な顔は保ちながらも心情の機微は細やかに表現した。物語の終盤では清沢もくるみの腕前を認め始めたのでは、と感じられる展開もあるのだが、そんな時も決して劇的な変化があるわけではなく、しかし彼女に向ける清沢の顔つきや口調がほんの少しだけ柔らかくなったことから、彼の心の変化が感じられる。清沢の移り変わる胸の内を、グラデーションのように自然に映し出した高橋の表現力はさすがのものだ。

自由奔放な主人公・くるみとは対照的とも言える存在である清沢。静かながらも鮮烈な彼の存在は、くるみのドラマティックな活躍をさらに際立たせ、物語に奥行きを与える役割を果たしている。助演ながらもストーリーを牽引した高橋の芝居にも注目しながら見ていただきたい。

文=HOMINIS編集部

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