草なぎ剛清原果耶が描く父娘の絆と復讐劇にほろり...小泉今日子の存在感も物語を支える映画「碁盤斬り」

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古典落語として長く親しまれてきた「柳田格之進」をベースにした同作。「孤狼の血」などで知られ、後に映画「十一人の賊軍」(2024年)も手掛けた白石和彌監督による初めての時代劇作品でもある。

草なぎが演じるのは、武士の誇りを胸に何事にも正しくあろうとする浪人・格之進。草なぎは穏やかな顔つきと静かな佇まいで格之進を好演しており、凛とした表情とピシッと伸びた背筋からは、貧乏長屋の中でも光る格之進の品格が感じられる。

しかしそんな格之進も、かつての冤罪事件の真相を知った時や50両を盗んだ嫌疑をかけられた時には、顔色を一変させる。目の色を変えて眉をわずかに震わせるなど、なんとも繊細な表情の変化で、格之進の中に湧き上がった怒りを表現する草なぎの芝居が見事だ。緻密ながらも鮮烈な感情表現は、草なぎの演技の真骨頂と言えるだろう。その後、復讐の道を突き進んでいく格之進の鬼気迫る姿を見届けてほしい。

格之進の娘・お絹を演じたのは、連続テレビ小説「おかえりモネ」(2021年)や映画「片思い世界」(2025年)でも注目を集めた若手実力派の清原。可憐な存在感を放ちながらも、父である格之進のことを理解し、信頼する姿や、窮地に立たされた格之進を身を挺して守ろうとする姿からは、父親譲りの芯の強さを感じられる。そんなお絹を清原が真っすぐに演じた。復讐に燃える格之進と、父の決意を後押しするために自らを犠牲にするお絹。父娘の固い絆は、胸に来るものがある。

そして親娘をそばで支える吉原の遊廓大女将・お庚を演じた小泉今日子の演技も、第67回ブルーリボン賞で助演女優賞を受賞するなどの高い評価を得た。9歳の頃に吉原に売られてからは飲んだくれの父親を恨みながら、鬼のような心で生きてきたと劇中で語るお庚。彼女が激動の人生を歩んできたことに一瞬で説得力を与える、小泉の貫禄ある演技はさすがのもの。凛とした佇まいで、仕事には厳しいお庚。足抜けしようとした女郎が連れ戻されてきた時には凄味のある表情と声色で啖呵を切り、その姿は迫力たっぷり。一方で、お絹には優しい顔を向け、父を守るために身を差し出した彼女をどうにか守ろうとする人情味に溢れる一面も。厳しい顔と温かな表情を演じ分ける小泉にも注目してほしい。

格之進の人柄に惚れ込み、囲碁を通して友情を築く源兵衛役の國村をはじめ、お絹に思いを寄せる弥吉を演じた中川大志や、格之進との決死の闘いで魅せる柴田兵庫役の斎藤工など、錚々たる俳優陣が顔を揃えた同作。第48回日本アカデミー賞で草なぎは優秀主演男優賞を、清原は優秀助演女優賞をそれぞれ受賞した。武士の誇りを懸けた復讐劇の行く末を、名優たちの演技とともに堪能してほしい。

文=HOMINIS編集部

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