有村架純が自然な演技力と天性の魅力で作り出した、不思議で優しい「ちひろさん」の世界

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本作の初日舞台挨拶で、有村はちひろを演じることの難しさを語っていた。しかし、観ていてそんな印象をまったく受けないほどに、ちひろの内面までもが垣間見えるかのような絶妙な演技を見せてくれる。

例えば物語の序盤、のこのこ弁当の裏で筍の皮を剥くシーンでは、心の中で何かが頭をもたげたように、ふと遠い目つきになる。また、店主の妻で、ちひろが信頼している存在でもある多恵(風吹ジュン)の見舞いのために病院に行った時には、多恵との会話中に珍しく、視線を彷徨わせたりもする。そういった場面では、ちひろの心が何か動いているのは伝わってきつつも、やはりつかめない部分もあり、ちひろがミステリアスな人物であることを再認識させられる。しかし同時にちひろという人物の深みが、ふんわりと、有村らしい愛らしさを伴って映し出されているのだ。

本作の有村は、"演じている"というよりは、"空気を作り出している"といったほうがしっくりくる。風景と音、セリフの抑揚や笑顔が画面の中で融合し、優しい"ちひろさん"の世界となっている。それも、有村の持ち前の魅力と自然な演技が、"ちひろさん"というキャラクターと上手く融合しているからなのだろう。

6月公開の「マジカル・シークレット・ツアー」を観る前に、女優・有村架純の魅力とその素晴らしい演技力を、ぜひ本作で堪能してみてはいかがだろうか。

文=堀慎二郎

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