塩野瑛久の真価は繊細な人物表現にあり――大河ドラマと同年の出演作「無能の鷹」で見せた演技の振り幅
俳優
(C)テレビ朝日・MMJ
はんざき朝未による同名人気漫画を実写化した同作は、主演・菜々緒が持ち前の美貌を活かし、見るからに有能なオーラを放つものの中身は"圧倒的に無能" なヒロインを演じるという、ギャップのある役どころが話題となった。
そんな同作で塩野が演じたのは、主人公の鷹野とは対照的に、本当は仕事ができるのに、頼りなさそうな見た目から出来ない人という印象を持たれてしまい、営業に苦戦している"残念サラリーマン"の鶸田。消極的な性格で、同期が先輩たちと飲みに行っているのを聞いて"自分は誘われたことないのに..."と落ち込み、夜な夜な学生時代の友人のSNSを見に行っては煌びやかな活躍に指を咥える。そんな冴えない会社員なのだが、どこか憎めないのが鶸田という存在だ。
(C)テレビ朝日・MMJ
クビにされかけている鷹野を放っておけず、部長に直談判して一緒に営業に出向く意外な行動力や、商談の場でも無能ぶりを発揮する鷹野にいち早く気付きフォローする隠れた優秀さ。気弱で決して派手でも器用でもないが、努力家で真面目で、そして優しい鶸田を、塩野が繊細な表現で感情の機微もしっかりと映し出しながら演じている。本来は端正な顔立ちで華やかさを感じられる塩野だが、同作ではそのオーラは良い意味で封印。猫背気味の佇まいにおどおどした視線や声色など、丹念な役作りが感じられる芝居で鶸田というキャラクターをナチュラルに演じた。
浮世離れした無能ぶりを発揮し続ける鷹野を見て、呆れたり、戸惑ったり、心の中で突っ込んだり...等身大のリアクションを見せる鶸田の存在は、主人公・鷹野の破天荒さをより際立たせる役割も担っている。
同作は麗しく気高い一条天皇を演じた「光る君へ」と同じ年の放送だったこともあり、塩野の演技の振り幅が強く印象付けられた作品でもある。塩野のターニングポイントの1つにもなったであろう2024年の出演作での好演を、ぜひ楽しんでいただきたい。
文=HOMINIS編集部







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