考えてみれば、寺島が演じてきた多くの人物は、いつも怖さの奥に情を抱えていた。荒々しい言葉の裏に照れがあり、怒りの裏に守りたいものがある。片岡悠介は、その魅力をより親しみやすい形で見せるキャラクターだ。美人に弱く、少し間が抜けていて、それでも事件の前では目の色が変わる。そんな片岡の姿には、寺島が長年かけて演じてきた男たちの面影がある。
「再捜査刑事・片岡悠介10」は、過去の事件をもう一度見つめ直す物語であると同時に、寺島進という俳優の持ち味を改めて味わえる作品でもある。お忍び旅行をめぐる男女のもつれ、病院内に広がる噂、差出人不明の手紙、そして現在の殺人事件。いくつもの疑念が重なっていく中で、片岡は過去に取り残された声を拾い上げるように事件へ近づいていく。その不器用で、泥臭く、どこか憎めない姿には、寺島だからこそ出せる人間味が詰まっている。
文=川崎龍也











