警視庁捜査一課の刑事・佐野は、犯人捜査のためなら手段を選ばない孤高の男。3年前に突然去った元妻・薫の存在が、今も彼の心に深い影を落としていた。証拠が乏しくても決して怯まず容疑者を追い詰め、羽住や神崎にも有無を言わせぬ厳しさを見せ、それでいて元妻・薫の名前が話題に上った途端にふと目を伏せたりと、犯人検挙のためなら手段を選ばない捜査スタイルの裏で、失った家庭への未練を捨てきれずにいる佐野の人間らしい弱さを、佐々木の表情は物語っている。"ALIUS"という常識を超えた存在に直面してもなお揺るがない胆力と、私生活での脆さが同居する佐野の姿からは、24年ぶりのWOWOWドラマ、そして初主演という節目にふさわしい貫禄が伝わってくる。
神崎は経験則で動く刑事たちとは一線を画し、常識では説明のつかない事象を前にしても物怖じせず、むしろ好奇心を燃やして仮説を組み立てていく人物。現場に残された痕跡ひとつにも目を輝かせ、佐野たちベテラン刑事が見過ごしていた視点から大胆な推理を導き出していく神崎の姿を、中川は理屈っぽさよりも好奇心が先に立つ、軽やかな芝居で表現した。淡々と捜査を進める佐野や羽住とは対照的な、未知の存在への驚きや高揚感を隠さない神崎の反応が、物語に知的なスリルを添えている。
当初はすれ違うことも多かった佐野と神崎。現場叩き上げの勘を信じる佐野と、科学的な視点から仮説を導く神崎、拠って立つものがまるで違う2人が、ときにぶつかり合いながらも互いを認め合い、次第に息を合わせていく過程には、じわじわと信頼が芽生えていく手応えがある。とはいえ、2人が追っているのは常識を超えた猟奇的な連続殺人事件。平穏な捜査はそう長くは続かず、次々と見つかる不可解な痕跡と、事件の背後で蠢く人々の思惑をきっかけに、事態は誰も予想し得なかった方向へと転がり始めることになる。
現場での経験を頼りに突き進む佐々木演じる佐野と、理論と好奇心で未知の領域に挑む中川演じる神崎。タイプの異なる2人がぶつかり合いながら真相に迫っていくさまに注目しながら、"ALIUS"の正体、そして物語の行く末を見届けていただきたい。
文=川崎龍也











