月組・礼華はる 王としての"矜持"と人間としての"葛藤"を体現した主演作「雨にじむ渤海(26年月組・バウ)」
俳優
©宝塚歌劇 ©宝塚クリエイティブアーツ
月組スターとして着実に存在感を高めてきた礼華はる。2026年1~2月に宝塚バウホールで上演され、彼女にとって2度目のバウ主演作となった、月組バウホール公演「雨にじむ渤海(26年月組・バウ)」が、8月8日(土)にTAKARAZUKA SKY STAGEで放送される。
■礼華はる 出演作品をチェック宝塚歌劇ならではの壮麗な歴史ファンタジーに真正面から挑んだ礼華。孤独な王の心の軌跡を軸に描かれる本作は、彼女の男役としての成長と、芝居力に定評のある月組が培ってきた表現力の高さを改めて実感させる1作となった。
副題に「亡国封史」を掲げた本作の舞台は、10世紀の東アジア。「海東の盛国」と称えられながら、隣国・契丹に攻め込まれ滅びようとしていた幻の国・渤海(パレ)だ。脚本・演出は平松結有。詳細な史料が少ない渤海という国を舞台に据え、その滅亡を背景に、1人の王が人として、そして統治者として再生していく姿を描く重厚な歴史ファンタジーが展開される。
礼華は2015年に宝塚歌劇団へ入団した101期生。初舞台は「1789 -バスティーユの恋人たち-」。178cmの長身と知的な雰囲気を生かしながら着実に経験を重ね、新人公演「桜嵐記」(2021年)、「今夜、ロマンス劇場で」(2022年)で主演をつとめた。2023年には「月の燈影(ほかげ)」で初のバウホール主演を果たし、本作で2度目のバウ主演。近年は本公演でも重要な役どころを任される機会が増え、月組期待の男役の1人として着実にステップアップを重ね、その存在感を一段と高めている。
■王として生きる宿命と、人として取り戻していく心
礼華が演じたのは、渤海の王・テ・インソン(大諲譔)。度重なる暗殺の危機や、信頼してきた者たちの裏切りによって人を信じることができなくなった、孤独な王だ。命を狙われ谷底へ転落した彼は、市井の民・セウォン(彩海せら)に救われ、身分を隠して民とともに暮らすことになる。その中で、まっすぐに生きるセウォンの優しさや温もりに触れ、凍り付いていた心を少しずつ取り戻していく。
一方、王の訃報が伝えられた王宮では権力争いが激化。王妃ウンビン(乃々れいあ)、国政を握る執政ムクチョル(夢奈瑠音)、さらに契丹から送り込まれた間諜ら、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、渤海は滅亡への道をたどっていく。国が崩れゆく危機の中で、インソンは再び王として立ち上がることができるのか。王個人の再生と国家の命運が重なり合うドラマが、本作の大きな見どころとなっている。
この重厚な物語を支えるのが、専科・一樹千尋の存在だ。契丹王・耶律阿保機(やりつあぼき)役として圧倒的な威厳を放ち、若手を中心とした月組キャストを支えながら、作品全体に歴史劇としての厚みと緊張感を与えている。
東アジアの歴史ロマン漂う壮麗な衣装をまとった礼華は、178cmの長身を生かした舞台姿で、ステージでもひときわ目を引く。しかし、本作で最も印象的なのは、そのビジュアルの華やかさだけではない。観客を引き込むのは、インソンという人物の心の機微を繊細に積み重ねていく芝居だ。











