高橋一生の演技に引き込まれる理由は"静"と"動"のギャップ?

高橋一生(写真左から3人目) 「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」
高橋一生(写真左から3人目) 「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」

高橋一生の俳優デビューは1990年。当時10歳で出演した映画『星をつぐもの』から高橋の俳優人生は始まった。その後、「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)や「医龍3」(2010年)、「Woman」(2013年)などに出演。そして、高橋の名を世の中に知らしめた作品、「民王」(2015年)と出会うことになる。総理大臣のおバカな息子を演じる菅田将暉の横で、高橋は笑顔を添えて毒を吐く公設第一秘書を好演して大ブレイク。

その後出演した「カルテット」(2017年)で、高橋は大皿に盛られた唐揚げにレモンを勝手にかけられて大激怒する、理屈っぽくて面倒くさい男・家森諭高を演じた。本来ならば"ウザい"役どころにも関わらず、高橋は感情表現を抑え、大人の気品をまとったセリフ回しを見せて、どこかミステリアスな雰囲気を感じさせる俳優となった。

「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」

(C)2016「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」製作委員会

「カルテット」の前年に出演した「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」(2016年)でも、既にその一端は現れていた。多部未華子主演のラブストーリーで、高橋が演じたのはハイスペックでありながら、女心が分からないという欠点を持つ男・黒川壮一郎。会社の部下・桃瀬(大政絢)に想いを寄せる黒川は、恋愛アプリのシナリオを制作している莉子(多部)に恋愛指南を依頼する。この作品でも高橋は終始落ち着いた感情表現で、大人の恋愛における心の機微や揺れ動きを見事に表現してみせた。こうした"静けさ"こそが、高橋が俳優として輝く理由の1つだろう。しかし、高橋の輝きは"静けさ"だけでは成り立たたない。

「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」

(C)2016「わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた」製作委員会

「カルテット」で、いつもは飄々(ひょうひょう)としている家森が、自分の子供と離れ離れになる際、顔を覆って嗚咽交じりに泣き崩れる。いつもは静かな家森が感情をあらわにするこのシーンで、激しく揺れ動く家森の心象風景を、高橋は視聴者に突き付けたのだ。"静"を保ってきた高橋が、心の奥底に秘めた感情を爆発させる時、その変化は大きな波となって見る者を物語へと引き込んでいく。抑制の利いた高橋の"静"は、彼の内にある"動"を存分に生かすための布石ともいえるだろう。「わたしに運命の恋なんてありえない思ってた」でも、仕事をクールにこなしている男が、不慣れな恋愛、そしてヒロインに対して次第に感情を高ぶらせていく。王道ラブストーリーに心をときめかせながら、高橋の"静"と"動"に注目してみると、その魅力にさらに引き込まれることだろう。

文=editaholic

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放送情報

わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた【スペシャルエディション】
放送日時:2018年12月24日(月)19:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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