――長きにわたって携わってきている同シリーズは、ご自身にとってどんな作品ですか?
松岡「初座長でこのシリーズをやらせていただいて自分の代表作でもありますし、自分の演じる役がタイトルにもなっていて。そういったいろいろなものを背負って立つ舞台なので、新しい演目になればなるほどより良いものにしなければならないという思いがあります。新しく参加してくださるキャストの方に居心地良く感じてもらいたいというのもありますので、ホームという感覚と同時にプレッシャーみたいなものも感じる他の現場では味わえない特別な思いのある場所です」
佐藤「サスケは今までで1番長く付き合っている役柄で、25年の人生で5分の1の時間を共生していて、芸歴で言えば俺の半分はサスケと言っても過言ではないんです。子供の頃から好きで憧れたキャラクターをこんなに長くやらせていただけるというのは本当にありがたいことですし、このカンパニーはホームというよりも自分の片割れみたいな感覚ですね」
――シリーズを通して共演者であり同志でもあるお2人だと思いますが、お互いに対する思いを教えて下さい。
松岡「久しぶりに会っても久々感はあんまりない存在。"離れていてもどこかつながっている"じゃないですけど、そんな関係ですね。17歳の時から馴れ合いではやってないですし、"背中合わせ"という言葉が僕の中ではしっくりきます。背中を預けられるというのはけっこうありますね」
佐藤「俺は "ずーっとデスクが隣の同僚"って感じです。そういえば、ずーっと一緒にいるなって」
松岡「気付いたらいる、みたいなね」
――お互いにリスペクトしているところは?
佐藤「1番気恥ずかしい質問...(苦笑)」
松岡「1作目の少年編の時から思っていることなのですが、声色だったり姿勢だったり、外面から非常に緻密に作って来るので、役への模倣に長けているなと。それに内面の芝居も加わるので、すごく計算高いなって。他の人よりも何個も頭が抜けてると思います」
佐藤「ナルトじゃないですけど、本当に努力家。ずっと頑張っているなという印象。できても満足しない姿勢があるから、はたから見ると『もうそれで100点だよ』と思うところも、まだ頑張るからすごいな、と」
松岡「臆病で自分に自信がないんですよね。板(舞台)の上では自信を持って演じていますけど、一旦離れると『これでいいのかな?』という不安がよぎったりもするので、それをなくすためにずっと稽古しているという感じなんです。僕は自分で才能が無いと思っているので、才能が無いなりにできることって努力しかないから。それが最低限やることで、最低限のことを最大限やるという」
――5年前と比べてお互い変わったと思うところは?
佐藤「言動とか人間性もすごく大人になりましたね。出会った頃はボコボコにしてやりたいくらいで...(笑)」
松岡「(爆笑)"ザ・クソガキ"みたいな感じだったと思う!」
佐藤「いやいや、それは冗談だけど(笑)。でも、本当に大人になったと思う」
松岡「僕は単純にしゃべりやすくなったというのはありますね。最初の頃はお互いナルトとサスケという大役を演じるということで、タスクが多過ぎて視野も狭まっていたと思うんですけど、板の上で演じることによってだんだんそれも変わってきましたし。そんな中で、関係性が変わった1番のきっかけは、(少年編の)再演の時に『もう"タメ語"でいいよ』って言ってくれた時かな。流司くんが認めてくれたというか、『もういいかな』って思ってくれたみたいで、それから急激に仲良くなって距離が縮まったんです。そうしたらお互いに芝居のことは話さないけど、どうすれば相手がやりやすいのかも分かるようになったし、相手が(自分の芝居に)順応してくれるし、自分も(相手の芝居に)順応できるようになりました」
佐藤「(『タメ語でいいよ』の発言は)胸を親指でトントンと叩きながら言ったよね」
松岡「いや、それだったら『クサッ!』って言っちゃうわ!」
佐藤「今回の再演はそういう芝居でいくから」
松岡「やめてもらっていい?1回(演出家に)怒られてしまえ!(笑)」
――最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします!
佐藤「前回の舞台を見返したら『サスケの千鳥刀をむちゃくちゃ重そうに振っているな』という印象があったので、今回は体作りから頑張りますのでご期待ください!」
松岡「再演ということで僕らも決して妥協することなく、作品とキャラクターに慣れないよう作品とキャラクターに今一度愛を持ってしっかり演じていきたいと思っています。新キャストの方々も増えるのでそこも見どころだと思いますし、過去最高を目指してやっていきますので、劇場でお待ちしております!」
文=原田健 撮影=中川容邦
舞台情報
ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~
<大阪公演>10月25日(金)~11月4日(月・祝)大阪メルパルクホール
<東京公演>11月8日(金)~11月10日(日)TOKYO DOME CITY HALL
11月15日(金)~12月1日(日)天王洲 銀河劇場
<深セン公演>2019年12月6日(金)~12月8日(日)深セン保利劇院
<上海公演>2019年12月14日(土)~12月22日(日)虹橋芸術センター
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