玉森裕太の影が漂うような佇まいも魅力的!繊細な感情表現に引き込まれる役者陣の熱演

「パラレルワールド・ラブストーリー」
「パラレルワールド・ラブストーリー」

(C)2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会 (C)東野圭吾/講談社

7月から放送される「NICE FLIGHT!」で主演を務めるなど俳優としての活躍も目立つ玉森裕太。そして、『ホリック xxxHOLiC』『ハケンアニメ!』『島守の塔』など今年も話題作への出演が続く吉岡里帆。東野圭吾のベストセラー小説を映画化した『パラレルワールド・ラブストーリー』では、彼らが切なくも目の離せない恋を表現している。

映像化不可能と言われた傑作ミステリーを、『聖の青春』(2016年)の森義隆監督が映画化した本作。主人公となるのは、ある日突然、二つの世界に迷い込んでしまった崇史(玉森)。一つの世界は愛する麻由子(吉岡)と自分が恋人同士の世界。しかしもう一つの世界では、麻由子は親友の智彦(染谷将太)の恋人になっている...。崇史が、真実を求めてもがく様が描かれていく。

役者陣の化学反応が堪能できる映画「パラレルワールド・ラブストーリー」
役者陣の化学反応が堪能できる映画「パラレルワールド・ラブストーリー」

(C)2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会 (C)東野圭吾/講談社

一体、真実はなんなのか?観客は崇史と共に混乱することになるが、ポラロイドカメラの写真、部屋の鍵、麻由子への誕生日プレゼント、そしてセリフの一つ一つにまで、謎を解く暗号が散りばめられ、怒涛のクライマックスまで見る者を釘付けにする。崇史がキスをすると、麻由子が悲しい表情をするのはなぜなのか。すべてが明らかになった時に、東野が仕掛けた"愛の謎"に唸ること間違いなしの1作となっている。

「パラレルワールド・ラブストーリー」
「パラレルワールド・ラブストーリー」

(C)2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会 (C)東野圭吾/講談社

複雑な世界を映し出しながら、観客が没頭できる作品となっているのは、役者陣の名演があってこそ。玉森がルックスにも知性にも恵まれながら、混乱と恐怖に苦しんでいく崇史を見事に演じている。「麻由子を好きになったのは俺の方が先だ」と強引に告白してみせたり、智彦の言動に苛立ちを隠せなかったりと、麻由子へのどうしようもない恋心と、友人への嫉妬心を溢れさせていく展開は、見ているこちらも胸が苦しくなるほど。終盤で見せる涙は、前のめりになって見つめてしまう人も多いのではないだろうか。

本作を観て感じるのは、繊細な感情表現でぐいぐいと引きつける玉森は、強力な吸引力のある俳優だということ。満面の笑顔を見せている瞬間にも、どこか影が漂うような佇まいも魅力的だ。ドラマ「リバース」(2017年)で、彼が完全にアイドルオーラを消して教師役を演じた際にも痛感したが、玉森の俳優としてのポテンシャルの高さには目を見張るものがある。本作は玉森にとって『レインツリーの国』(2015年)以来4年ぶりの主演映画となったが、公開時に森監督が「映画向きな人」だと語っていたことも印象深く、もっと映画俳優・玉森裕太を見てみたいと感じさせられた。

「パラレルワールド・ラブストーリー」
「パラレルワールド・ラブストーリー」

(C)2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会 (C)東野圭吾/講談社

また吉岡は、儚げな魅力を存分に発揮し、ミステリアスな麻由子を演じ切った。崇史と智彦のどちらもがゾッコンになってしまう説得力も申し分ない。そして染谷は、崇史との友情、麻由子への愛の中に、智彦の抱えるコンプレックスや葛藤までをにじませ、強い存在感を示している。

パラレルワールドに迷い込み、抜け出したはずなのに、観終わった頃にはすぐにリピートしてみたくなるような映画『パラレルワールド・ラブストーリー』。役者陣の化学反応を堪能するとともに、ぜひ大いに翻弄されてほしい。

文=成田おり枝

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放送情報

パラレルワールド・ラブストーリー
放送日時:2022年7月17日(日)0:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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