「下剋上受験」で深田恭子が演じた、可愛らしくも強い理想の母親像

深田恭子が中学受験にチャレンジする小学生の母親を演じたのが阿部サダヲ主演のドラマ「下剋上受験」だ。

「下剋上受験」に出演する阿部サダヲ、深田恭子、山田美紅羽
「下剋上受験」に出演する阿部サダヲ、深田恭子、山田美紅羽

原作はベストセラーになった桜井信一による同タイトルの著書で、実話をもとにドラマ化された。阿部演じる桜井信一は不動産会社に勤務。ある日、客に出身大学を聞かれた信一は、持ち前のユーモアとテンションの高さで「中卒大学です!」と答えたものの、一流大学を出ている後輩(風間俊介)に仕事を持っていかれて落胆する。桜井家は妻の香夏子(深田恭子)も信一の父親・一夫(小林薫)も全員、中卒。小学校5年生の娘の佳織(山田美紅羽)だけには悔しい思いをさせたくない、自分たちとは違う世界があることを知ってほしいと強く思ったことがきっかけとなり、父と娘の1年半にも及ぶ猛勉強の日々が始まるのだ。

信一はお金がないのに大量の参考書を買いこみ、大工の父親に「俺塾」と名付けた部屋を作ってもらい、自らも睡眠を削って算数を勉強。ついには不動産会社を辞めてしまう。偏差値41の娘を偏差値72の名門中学に入れるために奮闘し、時に暴走してしまう信一と、その熱すぎる期待に応えようとするあまり、追いつめられていく佳織。受験が近づくにつれてギスギスしてくる桜井家を大きな愛で包む母・香夏子の存在がなければとっくに家庭は崩壊しているだろう。本作で深田が演じた魅力的な母親像とは?

■深田が演じる可愛くて強い母親がドラマの癒しに

社会に出て、「中卒には超えられない壁がある」と身に染みて感じている信一は、娘には高い壁の向こうに行って幸せになってほしいと願うが、妻の香夏子は中卒であることにコンプレックスを感じず、日々を明るく楽しく過ごす桜井家のムードメーカーだ。ケガをした信一の父が退院した時には、家に招いてすき焼きと日本酒を振る舞い、お受験には難色を示しながらも、娘の意思を尊重。「佳織のためにならないと思ったら、すぐにやめさせる」という条件を出した上で応援する、清々しいぐらい裏表のない性格である。

受験がモチーフの物語の中、幸せについて考えさせられるのは深田の存在があってこそ。夫婦ともに学歴は無くても、笑顔の絶えない家庭にしようと信一と結婚した香夏子。受験に命を賭けるあまり、信一が身体を壊してしまった時には、娘に「佳織、お母さんのこと不幸だと思う?」と問いかける。否定する娘に「なんでだと思う?お父さんと佳織がいるから」と答えるシーンは、すぐそばにある幸せを知っている香夏子の聡明さを象徴しているようだ。信一が職を失った時に自分が働いて家庭を支える決意をするのも男前。スーツ姿で出勤する深田に「かわいい」という声が相次いだ。

■たびたび登場する娘と一緒にお風呂に入るシーンにほのぼの

娘のことを愛するあまり、成績が上がらないと感情的になってしまう信一は、旅人算をわかりやすく説明するため、中卒仲間に集まってもらい、外で走って実践。しかし、シャカリキになってくれている父の気持ちを分かっていても、心が追いつかない佳織は怒られて号泣。そんな2人のことを心配しながらも応援する香夏子が佳織と一緒に入浴するシーンは印象的だ。算数でいっぱいいっぱいの信一のためにお風呂で漢字を教え、佳織が落ち込んでいる時は頬っぺたをツンツンしたり、泣いている娘を後ろから抱きしめたり。父親に怒られた佳織が真っ先に飛んでいくのは、母親の胸の中。娘を笑顔にさせる役割を果たしている。ベッドではなく布団で寝ているなど、桜井家の様子が食卓も含めて庶民的なのも良く、いつのまにか夫と妻の立場が逆転していく姿も面白い。「こんなお母さんがいたらいいな」と思わせるチャーミングな母親像を深田恭子が好演している。

文=山本弘子

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放送情報

下剋上受験
放送日時:2022年7月10日(日)12:00~
チャンネル:TBSチャンネル2
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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