世界の壁を前に"挑戦者魂"を貫いた羽生結弦紀平梨花の激闘ぶり

「フィギュアスケート グランプリファイナル2019」
「フィギュアスケート グランプリファイナル2019」

写真:アフロスポーツ、APアフロ、USA TODAY Sportsロイターアフロ

イタリア・トリノで行われた今年のフィギュアスケート「グランプリファイナル」。男女ともに世界最高得点が更新されるという、まさに世界トップのスケーターたちにふさわしい戦いが繰り広げられたが、テレ朝チャンネル2でその様子を「フィギュアスケート グランプリファイナル2019」として1月19日(日)に放送。改めて激闘を振り返っていきたい。

この大会を通して何より印象的だったのは"挑戦者"羽生結弦選手の姿だ。2016-2017シーズン以来の出場となり、史上最多となる5度目の優勝を狙い、並々ならぬ気合で臨んだ今大会。フリーに向けた練習では公の場で初めて4回転アクセルへ挑戦。いずれも着氷には至らなかったが、会場のファンからは果敢な姿勢に拍手が起きた。

そうして迎えたフリー本番では、これまでより難易度を上げ4種類の4回転を5度飛ぶという高難度の構成に挑戦。冒頭の4回転ループと、ケガにより2年間封印していた4回転ルッツを見事に決めたが、後半になると、4回転トウループからの3連続ジャンプの回転不足や珍しいアクセルの失敗といったミスが続き、限界へ挑戦し、演技終了後には体勢を保てずに崩れ落ちる姿も見せた。自己ベストには20点近く及ばない得点で2位に終わり、逆転優勝は叶わなかった。

世界最高得点を大幅に更新し、335.30点を叩き出した絶対王者ネイサン・チェンとの敗北に対しても、「めちゃくちゃ悔しいし、今に見ておけという思いがある。早く練習したい」と、自身の胸中を率直に語っていた羽生。試合直後から、早くも次なる戦いへと舵を切り、"挑戦者"としての意欲をみなぎらせていた姿が印象的だった。

一方の女子は、今シーズンからシニアに参戦し、GPシリーズの6大会で全ての優勝をさらったロシアの3人の新星たちが、ファイナルの場でも勢いそのままに躍進し、表彰台を独占した。

4回転ルッツを女子シニア選手で初めて成功したアンナ・シェルバコワ、GPファイナルで計5回もの4回転ジャンプを取り入れた演技構成に挑んだアレクサンドラ・トゥルソワと、驚異的な4回転ジャンパーたちの印象が強い今シーズンとなったが、ファイナルで優勝をさらったのは、3人の中では1歳年上の16歳、アリョーナ・コストルナヤ。安定したトリプルアクセルと抜きん出た表現力を武器しており、GPファイナルのFSでも、2度のトリプルアクセルを含んだ高難度の構成をノーミスで演技。ネイサン・チェン同様、こちらも歴代最高となる247.59点を叩き出す圧巻の演技を披露した。

昨年のGPファイナル覇者・紀平梨花は、6位とショートでの出遅れを挽回すべく、フリー冒頭で初めて本番で4回転サルコウに挑戦。着氷には至らなかったが、トリプルアクセルや3回転の連続ジャンプ、また3つのスピンとステップでも高評価を獲得し、最終的には4位にジャンプアップ。ロシア勢の台頭を前に、表彰台こそ手が届かなかったが、今後への期待を感じさせる演技を見せた紀平。しかし、その一方で、平昌五輪覇者のアリーナ・ザギトワが6位というまさかの結果に...。その後、今シーズンの休場を表明したことも波乱を呼んでいる。

例年に増してドラマティックな展開を見せた今季のGPファイナル。その約10日後に開催された全日本選手権を経て、今年3月にカナダ・モントリオールで行われる世界選手権には、男子選手からは宇野昌磨、羽生結弦、田中刑事、女子選手からは紀平梨花、樋口新葉、宮原知子の出場が発表されている。再び世界の強豪選手と相まみえる世界選手権で、リベンジを果たすべく、日々挑戦し続ける日本人選手たち。まさにフィギュア新時代を象徴する今季の「フィギュアスケート グランプリファイナル2019」での演技を、もう一度見直したい。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

フィギュアスケート グランプリファイナル2019
放送日時:2020年1月19日(日)10:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル2 ニュース・情報・スポーツ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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