アユニ・Dが野音ライブを語る「生きざまは全部見せられたと思います」

ミュージシャン

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アユニ・D率いるPEDROが、8月11日に日比谷野外大音楽堂で開催した「PEDRO Special One-Man Show「ちっぽけな夜明け」」。アユニ・Dにとって野音は、BiSH加入後の初ツアーファイナルで立ったこともあり、「PEDROとして必ず立ちたい」と願っていた場所だ。そんな特別な公演を、MTVでは、ライブ映像に加えてインタビューや貴重な密着映像を交えた特別番組として放送する。放送に際して、アユニ・Dに野音ライブを振り返りつつ、見どころを聞いた。

奇跡的に野音に立つことができ、ターニングポイントになった

――まずは今回の野音ライブを振り返っていかがでしたか?

「やれることを全部やったという感じです。今は肩の荷がようやく下りて、客観的に捉えることができますけど、突然決まったライブに一カ月半突き進んでいく中では、プレッシャーもありつつ、全部ぶちかまそうと立ち向かった日々でした。反省点はありつつも、とても前向きな気持ちで立てたステージだったと思います」

――特別な場所だという、野音についての思い入れについて改めて教えて下さい。

「16歳でBiSHに加入してすぐにツアーを回ってファイナルが野音。それが加入して2カ月のことで、まだ右も左もわからない...。画面越しに見ていたメンバーについていくのが精一杯という状態で野音に立ち、達成感というより、がむしゃらに走っている中での野音だったんです。だからこそ、喜怒哀楽がしみこんでいる舞台だと思っていました。その後は自分が好きなバンドの演奏を野音で見る機会もたくさんあり、自分もいつかバンドとしてここに立ちたいという思いを馳せてきた。だけどこの10月から使用休止になるので、正直諦めかけていた部分もありました...。だから、建て替え前に奇跡的に野音に立てたことは、自分にとってターニングポイントだし、ここから新たなスタートだなという気持ちで立ちました」

――野音で見たバンドで刺激を受けた存在は?

「なんといっても、PEDROのサポートギタリストでもある、田渕ひさ子さんが所属しているNUMBER GIRLのライブです。私は、音楽シーンや音楽カルチャーに詳しくなかったけど、ひさ子さんと出会って、音楽がすごく好きになり、前のめりになっていった。そんな自分の原点のような方の、バンドの再結成のライブを野音で見ることができた。まさに伝説的な瞬間だったので、忘れられないですね。幻だったバンドが目の前で演奏していることが、現実と非現実の狭間にいるような不思議な感覚で、とても感動しました。客席で見ていた憧れの人が、同じ野音の舞台で自分の隣に立っているのは、まさに夢のような気持ちでしたね」

――当日は、どんな思いでステージに立ちましたか?

「正直なところ、プレッシャー120%の状態でした...(笑)。もちろん、楽しみな気持ちが最初はあったけど、新譜の制作だったり、ツアーが一段落して自分自身と向き合っている期間でもあったので、プレッシャーが増していき...。ただ、身近にいる人やチームの人たちと向き合う時間も増え、プレッシャーに立ち向かう気持ちが強くなって、当日を迎えられた感じでしたね。野音までの一カ月は、ほとんどライブがなかったこともあり、人前に立つこと自体がプレッシャーにもなってきて...。10年ほどこの仕事をやってはいても、未だに慣れない。大勢の人を目の前にした時に感じるエネルギーって、やはり想像以上のものがあるんです。なので、自分でも相当な覚悟を決めて本番に臨みましたね」

――9年前の野音とは違った景色が見えたのでしょうか?

「9年前も今回も無我夢中で立ったステージだったので、気温とか熱量とか、感じる余裕が正直なかったです。ただ、9年前は喜怒哀楽の様々な感情が込み上げて整理できないまま立っていたのですが、今回は、整理できない感情もなるべく言葉にして咀嚼した上で舞台に立つことができた。負の感情を一切抜きにして、お客さんの顔を見られたことは、大きな違いだったと思います。お客さんがとても前向きな表情でこちらを見つめてくれたという印象があります」

――BiSH解散からの2年間については、どのような日々でしたか?

「周りの人たちに、めっちゃ迷惑かけた2年でした(笑)。引っ越しして断捨離したり、今までやっていないこともしたりして、大事なことを一方的に突き放すようなこともした。生活から音楽活動まで、破天荒な2年でした。それでも見守ってくれる人がいたり、待ってくれる人もいた。今は『ただいま』と伸ばした私の手を『おかえり』と、握り返してくれる人がいる。私が無茶な挑戦をしようとしても、安易に止めずに自由にさせてもらえる環境だったことに、いくら感謝してもしきれないですね。こんなに私を支えてくれた人たちに、これからいい思いをしてもらわなくちゃ、私が音楽をやっている意味がない。今後の10年、20年に向かっていく糧になった2年間でもあったと感じています」

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放送情報

PEDRO 日比谷野外大音楽堂 Live & Document「ちっぽけな夜明け」
放送日時:2025年10月17日(金)21:00~
チャンネル:MTV

MTV LIVE: BiSH Less Than SEX TOUR FiNAL '帝王切開'
放送日時:2025年10月17日(金)20:00~
チャンネル:MTV

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