アユニ・Dが野音ライブを語る「生きざまは全部見せられたと思います」
ミュージシャン

「ちっぽけな夜明け」というワードに込めた想い
今までの自分の生きざまをすべて見せた
――今回のミニアルバムのタイトルにも冠された「ちっぽけな夜明け」という言葉に関して、どんな思いが込められていますか?
「そもそも新譜制作をしていた時に掲げていたタイトルを、野音で初披露しようという話になったんです。"ちっぽけ"というナイーブな表現と、"夜明け"という暗闇が明るくなるポジティブな表現が『アユニっぽいね』と言ってもらえて、たくさんの候補の中から決まったのですが、最初はあまりしっくりきてなかったんですよ。でも徐々に実感できるようになった。と言うのは、様々な悩みで心に闇を抱えた時に、勇気を出して誰かに自分の気持ちを話したりして、点と点が線になるような瞬間があるんです。そういう時はたいてい朝の4時、5時で、自分には光が当たらないとか思い込でいても、必ず朝は来るわけで。こんなちっぽけな私にも夜明けはちゃんと来るし、自分はいつも夜明けを待っていたんだということに気づけたんですね。今回掲げたタイトルに、自分自身も気づかされたんだと思っています」
――「自分のことを好きになれない自分がいる」とも語っていましたね。
「先日、ファンクラブのイベントである女性が『私は40代だけど、大人になることって全然怖くないし、楽しいことだから怖がらなくていい』と言ってくれたんですね。だけど、今の自分にはそれは実感できなくて...。自分の未熟な部分に納得できないし、大人になることがとても怖い。自分の中の変わらない部分と変わる部分が日々葛藤しているようなことが今もあります。でも、そんな葛藤があるからこそ、色々なことに挑戦したくなる。私はこれまで遠回りもしてきたし、これからも間違いをしながら歩んでいくと思うんだけど、めげることなくやっていきたい。自分は自分のできることをやればいいと考えています。そのためにも音楽は重要なんです。自分を縛り付けているようなものを払拭するためには、何かに没頭することが必要だと思うし、自分に試練を課している面もある。PEDROは誘われたことがきっかけで始まったんですけど、今では大好きで自分で選んでやっていることなので、今の私は音楽に、そしてPEDROに極力自分を落とし込んでいきたいと思っています」
――ライブ前に、「今までの私、これからの私の生きざまを全部見せたい」と言っていましたが、見せられましたか?
「少なくとも、あの日に至る自分の生きざまは全部見せられたと思います。あの日、終わって家に帰ってから、本番の映像を見ながらひとり反省会をしていて、気づいたら朝の8時だったんですけど...。冷静に振り返ると、ちょっと緊張してたなとか、もっとできることあったなとかも思うんですが、あの日あそこに立つまでの自分を全て見せられたという点では、悔いはありません。本当は、自分の声を聴くとか映像を見るのも嫌なんですけど、そんなこと言っていたらごまかしで終わっちゃうから、自分ととことん向き合って、いい方向に行きたいですからね」

――ライブ前とライブ後で、自分自身に変化は?
「ライブだけに限らず、ライブに向かう日々の中で多くの人にいただいた言葉とか、挑戦しながら自分で気づいたこととか、全てが糧になった。私は不器用なので、全力疾走しかできないと思っていたんですが、実はそこに逃げていただけなのかなと。自分の不器用さを口実に、がんじがらめにして『できない』と決めつけていたんですよね。なので、今は肩の荷を下ろして、さらに音楽と向き合って、新たな一歩を踏み出せる気がしています。野音の前は人と会って遊ぶようなことは全然なかったけど、今は人と会って音楽とか色々な話をしたり、たくさんのことを柔軟に取り入れたい。全力疾走は変わらずに、器用にやっていこうと思う。やっぱり野音以降で、そう変われたんですよね」
放送情報
PEDRO 日比谷野外大音楽堂 Live & Document「ちっぽけな夜明け」
放送日時:2025年10月17日(金)21:00~
チャンネル:MTV
MTV LIVE: BiSH Less Than SEX TOUR FiNAL '帝王切開'
放送日時:2025年10月17日(金)20:00~
チャンネル:MTV
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