当時30代のマッツが演じるフィッシャーは、義侠にかられて行動を起こしてしまう性格で、声を荒げたり、衝動的に暴力をふるってしまったりする一面もあり、現在のマッツからイメージされる紳士な姿とは違う魅力のあるキャラクターだ。

特にオススメしたいのが、可愛らしい坊主頭のマッツが見られるシーズン3から、第5話と第6話の「オーフス」の前・後編だ。マッツの兄であるラース・ミケルセンが出演し、ファンには堪らない夢の兄弟共演を果たしている。

ラースも、映画やドラマで幅広く活躍しており、ドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」のシーズン3(2014年)の最終話では、チャールズ・オーガスタス・マグヌセン役、Netflixシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(2015年)では、ロシア大統領ヴィクトル・ペトロフ役を演じるなど、冷酷な知略家のキャラクターが多い。

本作でラースが演じるイーヴァンは、落ち着いた雰囲気が魅力的な謎めいた男で、目標達成のため冷静に計画を進めていく。事件の容疑者として浮上するも、完璧なアリバイを持っているため、特別機動捜査班はイーヴァン逮捕に向けて証拠を集め追い詰めていく...。

第6話の取調室でイーヴァンを尋問するシーンでは、仲良しのミケルセン兄弟からは想像ができないシリアスな空気感のマッツVSラースの兄弟対決が堪能できるのでもちろん必見であるが、愛する人を失ったラースが落涙するシーンにも是非注目してほしい。北欧の至宝の兄の涙する姿も美しく思わず息をのむほどだ。

事件の真相を最後まで追い続けるチームの活躍、そして現在とは違った魅力の若かりしマッツを存分に堪能できる「UNIT ONE-特別機動捜査班-」を、今一度お楽しみ頂きたい。

文＝草光由美