「愛の不時着」(2019年)のヒョンビンや「ヴィンチェンツォ」(2021年)のソン・ジュンギのように、幾度となく再ブレイクを果たす人気俳優がいる一方で、次世代を担う新進俳優も続々と輩出されている韓流ドラマ界。その中の一人が、時代劇に初挑戦した「カンテク～運命の愛～」(2019年)で、その名を広く知らしめたキム・ミンギュだ。

同作でのえくぼを浮かべた若き王様役にひとめ惚れしたファンも多いかもしれないが、これまでミンギュは幅広いジャンルのドラマに出演して着実にキャリアを積み重ねてきている。

本格的なドラマデビュー作となったのが、学園ドラマ「恋するジェネレーション」(2015年)。チャン・ヒョクやコン・ユ、イ・ジョンソクら数々のスター俳優を輩出してきたKBSの人気ドラマ「学校」シリーズの1つで、SNSフォロワー数1500万人を超える人気俳優ナム・ジュヒョクと同じ水泳部の部員役で共演し、高校生らしい爽やかさ溢れる青春を体現した。

翌年には、日本でリメイクされたことも記憶に新しいサスペンスドラマ「シグナル」(2016年)にも出演。韓国ドラマ史を変える傑作と名高い同作において、イ・ジェフンやキム・ヘスといった実力派俳優たちに囲まれ、端役ながら義務警察官役でフレッシュな演技を見せた。その後も、ケーブルドラマにも関わらず高視聴率を記録した「この恋ははじめてだから」(2017年)や、2PMジュノが主演を務めたことでも話題となった本格ラブストーリー「ただ愛する仲」(2017年)にも出演し、順調にキャリアを重ねていく。

そしてミンギュにとって転機となったのが、「カンテク～運命の愛～」と同年に放送され、地上波ドラマ初主演となった「パフューム～恋のリミットは12時間～」(8月16日よりKBS Worldにて放送)。

不思議な香水により20代の姿に変身した主婦に第2の人生が訪れるというファンタジーロマンスで、アジア中を熱狂させるトップアイドル、ミンソクに扮したミンギュは、ヒロインのイェリン(コ・ウォニ)、神経質な天才ファッションデザイナー、イド(シン・ソンロク)との三角関係を繰り広げていく。

"アジアのプリンス"とも呼ばれ、不倫スキャンダルを隠すためにイェリンと偽装恋愛するはずが、次第に本気の恋愛へ...。年下男子ポジションでキュートなえくぼを見せて甘えてみたりライバルに嫉妬したりと可愛らしさ全開の魅力をさく裂。同時期に演じた「カンテク～運命の愛～」での落ち着いた物腰の王様役とは真逆のミンソク役を嬉々として演じている。

その後もチ・チャンウク主演のラブコメ「コンビニのセッピョル」(2020年)など途切れることなく話題作に出演し、アン・ヒョソプ演じる社長の秘書役にキャスティングされた最新作「社内お見合い」も撮影を控えている。

これまでも役の大小を問わず、学園ドラマやサスペンス、ファンタジーに本格時代劇と多種多様な作品に真摯に取り組みキャリアを重ねてきたミンギュ。次世代ライジングスターとして注目されている一人だけに、今後の活躍にますます期待したい。

文＝中川菜都美