――では、役を演じる上でそれほど演技指導はなかったのでしょうか?
「方向性をすり合わせる機会は、最初にしっかりと設けていただいています。個人的に大きく意識している要素としては、薫としてやってほしくないことをやらないこと。例えば、怒りの金切り声は出さないでほしいとか。理由もなく怒る人ではなく、叱る人というイメージを持つように落とし込んでみたり。基本は等身大でいるべきですが、発言が理不尽に聞こえないためには、どう丁寧に心境を滲ませるか考えたり。なんでも直球、むしろ豪速球なお芝居でやってしまうと、ちょっと粗暴に聞こえてしまったりもするので、そういう意味では"剣術小町"っていうのは薫を表すのにぴったりな言葉だなと感じます。師範代として説得力のある部分も、年頃の女の子の戸惑いも内包できるように挑んでいます」
――高橋さんが思う「るろうに剣心」の魅力を教えて下さい
「何のために剣を振るうかっていうところに胸が熱くなります。自分は剣ではありませんが、何のためにお芝居をしたいだろうって、いろいろ考えるきっかけにもなるんです。子どもはもちろん、大人が今作を読む面白さを再認識しましたし、自分という生きる軸を持ってる人たちに出会える作品として、すごく魅力的だなと思います」
――作品の登場人物に影響を受けることはよくありますか?
「多いですね。やっぱりアニメや漫画からもらう生き方への力ってすごいなって思っていて、例えば薫の『私は人の過去になんか、こだわらないわよ』ってセリフもすごく素敵。相手の過去や噂とか関係なく、自分の目で見てしっかりと向き合える姿は、なんて清くて美しいんだろうなと感じます。私も薫みたいに生きたいです」
――今年で声優活動を初めて10年が経ちましたが、振り返ってみていかがですか?
「本当に、現場と人に恵まれた10年間でした。『毎回、また10年後も一緒に仕事をしていただけるように努めておきなさい』という先輩の言葉を胸に走り続けてきたので、そのやり方を続ければ、たくさんの素敵な作品と人に出会えたよと、10年前の自分に教えてあげたいです」
――今後も活動していく上で「こんな声優でありたい」という理想像を教えてください
「これが結構私も知りたくて、どういう声優かって言われたら嬉しいかなってスタッフさんと飲みながら話したことがあるんです。その時に"ザ・声優" って表現を言われて。それってすごく深くて、でも私の好きな像かもしれないと思ったんですよね。まずは作品やキャラクターに向き合うプロフェッショナルでありたいし、そんな声優業や作品の素晴らしさを届けたいから、表に立って伝える活動にも胸を張って誇りたい。私のお仕事全てを"ザ・声優"って思ってもらえるように、恥じることのない声優活動にしたいなって、考えていました」
――最後に、放送を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします
「この度、新たに『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』がアニメで毎週オンエアされます。既に物語を知っている人も、今作の面白さをもう1回最初から、同じ歩幅で一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。これからよろしくお願いいたします!」
撮影・取材・文=永田正雄
放送情報
「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」
放送日時:2023年7月29日(土)19:00~
チャンネル:アニマックス
※2023年7月6日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送中
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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