『THANATOS~タナトス~』相葉雅紀×早見沙織×大塚明夫が作り上げた朗読劇の新たな形

声優

ルナを演じた早見は、しっとりとした声色で作品の世界観に優しく寄り添いつつも、エドムントから「アーサーはなぜ殺されたのか?」と問いかけられると、顔を歪めながら、これまで閉ざされていた心の扉が強引に開いてしまうような、感情むき出しの演技で会場の雰囲気をガラッと変えた。エドムントが催眠を解こうとすると、ルナの中からもう一人の人格であるマルスが現れる。すると、早見は不気味な笑いを浮かべ、「この記憶に手を出すな」と別人のような口ぶりで2人に抵抗する。早見の美しさと恐怖を兼ね備えた二面性のある演技を通して、観客を魅了していった。

大塚は、深みのある演技でデイヴィッドを演じ、相葉との見事な掛け合いで事件を解決に導いた。第1幕では明かされなかったデイヴィッドの過去が第2幕では明かされるが、ルナに対する後悔の念、そして恋心を抱く大塚の言葉一つひとつの重みがどっしりとのしかかってくる。クライマックスでの大塚の演技はお見事。うまく言葉を言えずに涙をこらえつつも、心の奥底に秘めたルナへの思いを伝えた芝居は圧巻の一言であった。

キャスト陣の演技に加えて、ピアニストの榊原大とチェリストの村岡苑子による、世界観を彩る繊細かつダイナミックな音楽と、照明の色や当てる方向によって変わる布のドレープや幻想的なライティングといった舞台芸術も本作の魅力となっている。配信チケットはStagecrowdにて11月17日(日)21:30まで販売(視聴は同日23:59まで)されているので、見逃してしまった方や、もう一度見たい方はぜひ作品の世界観を映像で堪能してほしい。

取材・文=川崎龍也

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