坂本真綾、30周年のいま改めて語る「エンタメと私」【スカパー!30周年】
声優

――坂本さんがこれまでの人生で影響を受けた作品や、人生観が変わった作品はありますか?
「たくさんあるんですけど、ひとつ挙げるならジブリの『魔女の宅急便』ですね。小学生のときに公開された映画で、映画館でも見たんですけど、そのときあまりにもすごいと衝撃を受けて。主人公に勝手にシンパシーを感じる部分があったんです。13歳で魔女が独り立ちする話で、自分もちょうどそのくらいの年齢だったんですよね。キキみたいになりたい、という憧れもありましたし、音楽の素晴らしさもあって、人生で初めて劇場でリピートした作品だったと思います。大人になってからひとり旅をすごくするようになるんですけど、いつもその場面がフラッシュバックして、荷物は少なく、キキみたいに身軽に旅に出られる自分でありたいなって思い出します。随分後になってからですけど、キキが住んだ町のモデルになったんじゃないかと言われている、クロアチアのドゥブロヴニクっていう世界遺産の街にも、ひとりで行ってみたりして。子どもの頃に見て、その後何度も何度も見て、そのたびに違うセリフにぐっと来たり、人生のいろんな場面で思い出して反芻する作品です」
――小学生や中学生で見た作品が、今もずっと影響しているんですね
「そうですね。小さいときはキキに共感していたけど、大人になってみると、居候させてもらったパン屋さんのおソノさんに共感したり、もっと年上の人の気持ちがわかってきたり。女性の成長をいろんなキャラクターが断片的に見せてくれるので、共感するキャラクターが変わっていくのも面白いなと思います」
――大人になってからも、見返したりしますか?
「見返してしまいます。何回見ても飽きずに楽しめるんですよ。セリフはもうほとんど覚えてしまっているんですけど(笑)」

――では、読者に「これ、ぜひ見てほしい」とおすすめしたいエンタメ作品はありますか?
「今の若い人が『PRIDE』を知らなかったら、見てほしいですね。スポーツだけど、エンタメなんです。バックボーンも得意技も異なる者同士がぶつかり合う、 "異種格闘技"ならではの面白さがあるんです。特に桜庭和志選手は、すごく人気のあった日本人選手で私も大ファンなんですけど、魅せる戦い方というか。強いだけじゃない、観客を楽しませる戦い方が本当に面白くて、プロレスともまた違う、総合格闘技の華々しい時代の魅力があるので、皆さんにはぜひ見てほしいです」
――最後に、坂本さんは声優やアーティストとして活動されていますが、これからどんなエンタメを届けていきたいですか?
「流行がどんどん変わっていく中で、私自身30年続けてきて、世の中の流れに合わせて変わり続けなきゃいけない部分と、変わらずに持ち続けるべき部分の両方があると感じています。そのバランスは、長くやればやるほど難しいですね。最近あらためて思うのは、声優も舞台も音楽活動も、共通しているのは言葉を届ける仕事だということ。言葉がちゃんと伝わるように届けるというシンプルなことを大事にしたいです。タイパ重視で速く消費される時代でも、言葉が人の心に届いたときに生まれるものは変わらないと思っているので、伝わり方が変化しても、届ける側は丁寧に投げる姿勢を忘れたくない。テンポが速く、セリフもどんどん早くなる現場だからこそ、この言葉で何を届けたいのかを自分が理解したうえで伝えたいですし、作詞をするときも同じように、言葉を大切に歌いたいです」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI











