高さ約975mの断崖絶壁!鈴木達央の死と隣り合わせの演技に息をのむ

「第91回アカデミー賞」をはじめ「第71回エミー賞」「第72回英国アカデミー賞」などで、数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画『フリーソロ』。主人公は、ロープや安全を確保する器具を一切使わず、体一つで山や断崖に挑戦するフリーソロ・クライミングのスター、アレックス・オノルド。2016年から2017年にかけて、米国・ヨセミテ国立公園にある花崗岩の一枚岩エル・キャピタン(高さ約975m)にチャレンジした彼に密着した本作が、ナショナル ジオグラフィックで日本初放送される。

(C)National Geographic

点在するわずかな起伏や亀裂に、手や足をかけて岩を登る。足場が離れている場所では、バランスが崩れそうなほど体を伸ばすこともある。一歩間違えば待ち受けるのは眼下の地面だ。見ているだけで緊張の連続という過酷なドキュメンタリーで、アレックスの吹き替えを担当したのは声優・鈴木達央。アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」の暗殺者プロシュートの、ドスの効いた声と迫力の演技は記憶に新しい。また、新TVシリーズが放送中の「七つの大罪」では不死身の肉体を持つ青年バンの、捉えどころない性格を見事に表現するなど、数多くの人気作品に出演している。

(C)National Geographic

そんな鈴木の声は、死を恐れずに巨大な絶壁にチャレンジするアレックスの声に、実によくマッチしている。恐怖への対処法について語る時や、エル・キャピタンに対する作戦を語る時、強い自我と揺るぎない意志を感じさせる鈴木の声が、アレックスが紡ぐ言葉の意味と魅力を増幅して聞かせてくれる。作品にはアレックスの母親や恋人のサンニも出演し、彼の人物像、その考え方や生き方についても語られる。なぜ山に登るのか、死は怖くないのか、アレックスというクライマーを通して、1人の人間の生きざまを垣間見られるだろう。

(C)National Geographic

本番に向け、ロープを着けてトレーニングを積むシーンでは、ルート上で手や足をかけるポイントはもちろん、どういう姿勢ならベストかまで、アレックスが正確に把握していることが描かれる。それでも難所では、失敗してロープに助けられることもあったという。本当に登れるのか、そんな不安と期待を持たせたまま、エル・キャピタンにアタックするラストの20分は圧巻だ。アレックスの息遣いが聞こえるまでに肉薄するカメラワーク。岩に張り付く手とシューズ。きっと彼の一挙手一投足に見入ってしまうはずだ。

(C)National Geographic

アレックスの協力者として出演するプロクライマー、トミー・コールドウェルは「危険に立ち向かっていく彼を見ると、無敵に思えてきて、心をわしづかみにされてしまう」と語る。不可能に挑戦する人の無限の可能性に満ちた本作で、若くして偉業を達成したアレックスの生き方と登頂の瞬間を、彼の人間味を増幅させる鈴木の声とともに堪能してほしい。

文=堀慎二郎

この記事の全ての画像を見る

放送情報

フリーソロ【字幕】
放送日時:2019年11月22日(金)21:00~
フリーソロ【二ヶ国語】
放送日時:2019年11月23日(土)23:00~
チャンネル:ナショナル ジオグラフィック 未知の自然・宇宙・歴史
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

関連人物