松本まりかが「雨に叫べば」で見せた、ひと皮むけた表現に刮目せよ

「雨に叫べば」に出演する松本まりか
「雨に叫べば」に出演する松本まりか

「カメレオン女優」としてさまざまな役を変幻自在に演じる松本まりか。出演する作品によって全く違う顔を見せ、その表現の多様さで世間を魅了し続け、観る者の期待感を増幅させてくれる。そんな彼女が、「全裸監督」「ミッドナイトスワン」などの話題作を手掛けた希代の監督・内田英治との素晴らしい化学反応を見せた作品が「雨に叫べば」が、日本映画専門チャンネルで2月3日(金)22:50にテレビ初放送される。

同作品は、男性優位だった80年代の映画業界を舞台に、デビュー作に挑む女性監督の奮闘を描いたもの。内田監督が脚本も手掛け、新人監督の成長を当時の業界への皮肉や映画愛を込めて活写している。1988年、初監督作の官能映画の撮影に意気込む花子(松本)だが、気合が先走ってベテランスタッフには見下され、キャストのわがままにも振り回され、現場は混乱を極める。その挙句、監督交代の危機まで迎えてしまう、というストーリー。

花子を演じる松本は、観客の期待以上の演技で新人監督の繊細な心の機微を表現。例を挙げると、冒頭から約10分、花子は全く喋らないのだが、喋ってないことに気付かないくらい豊かに花子の心情を表している。そして、10分後に初めてセリフを発するタイミングで、それまで喋っていなかったことに気付かされるのだ。それは松本が、発声以外の全てを使って役の気持ちを表しているからに他ならない。加えて、不安そうな表情や自信なさげな所作、泳ぐ目、周りに圧倒されて怯えていることを雄弁に語る背中などで感情を表現しながらも、何を考えているのかは分からないように演じているため、画面の花子から目を離せなくなる効果も生み出している。開始10分、一言も発さずに観客の気を引き続ける...これだけでも「カメレオン女優」の演技力を十二分に楽しめるだろう。

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放送情報

雨に叫べば(R-15版)<R-15>
放送日時:2023年2月3日(金)22:50~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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