初代仮面ライダーを演じた藤岡弘、が初主演映画「野獣狩り」で見せたハードボイルドさ

新人刑事として捜査をする藤岡弘、
新人刑事として捜査をする藤岡弘、

©1973 TOHO CO., LTD.

またタクシーに乗って逃げる犯人を走って追いかけたり、犯人との激しい銃撃戦を繰り広げたりと、そのどれもが良い意味でどこか泥臭く、単にリアルという言葉では片付けられない"本物さ"に満ち満ちている。藤岡自身が「監督がすさまじいリアリティを求めていた」と語っているが、そこに渋くも本物のアクションで応える藤岡がいたからこそ、この本物感は成立したのだろう。そこに加えて、本作で撮影監督デビューとなったキャメラマン・木村大作の根気と熱意ともいえるカメラワークがあったことも忘れてはならない。

泥臭く男気にあふれているのはアクションだけではない。こわもての風貌にぶっきらぼうな物言い、なにかと上層部に噛みつく姿から荒々しいベッドシーンにいたるまで、ハードボイルドな男をこれでもかと凝縮したような藤岡の姿が、50年近く経った今でも見る者の心をしびれさせる。同じ正義に燃える男でも「仮面ライダー」の紳士的な正義漢とはまったく異なる姿を見せた若き日の藤岡は、俳優としてのさらなる飛躍を感じさせたに違いない。実際、彼はここから順調にスター街道を歩んでいく。

ほとんどがロケ撮影だった本作には銀座の歩行者天国や池袋の百貨店など、70年代の都心の街並みやそこを歩く人々の姿が収められている。当時を知る人々には懐かしく、今の世代の人にとっては逆に新鮮に感じられるだろう。世代にかかわらず、藤岡弘、の初期の名作であり、日本映画の隠れた傑作であるこの映画を今こそ楽しんでほしい。

文=本永真里奈

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放送情報

野獣狩り
放送日時:9月3日(日)9:00~
放送チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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