山下はデフィよりも15歳年上で、芸歴でも大先輩でありながら、相手をリスペクトしつつ同じ目線で話す姿が印象的だ。場所を移しつつ、2人は最後に夜中の漢江(ハンガン)を走るクルーズ船へ。きらめく夜景の中で未来について交わした言葉は彼ら2人にとって大切な思い出となり、視聴者にも深い気づきをくれるはずだ。
中盤の「音楽編」では、独立後初となるアリーナツアーの裏側に密着。山下が「会場を押さえるところから全部が手探りだった」と語るように、今回のツアーはこれまでとは一味も二味も違うライブになった。細かな演出や照明の一つにまでこだわり、さらにはリハーサル最終日に急遽歌詞を追加するなど、妥協を許さない創作者としての姿勢をうかがい知ることができる。
後半の「日本編」では、山下が様々なジャンルのプロフェッショナルと対談を実施。中でも注目すべきは、山下と十年来の仲であるリリー・フランキーとの対談だ。20代前半でリリーに出会った山下は、「『自分がルーキーでいられる場所に身を置いたほうがいい』というアドバイスがすごく心に残っている」と語る。この言葉こそが、挑戦者・山下智久の根っこの部分を形作っているのだろう。
「不安だから自分をアップデートしていかなきゃって、ずっと思ってます」。終盤のインタビューで山下はそう語る。そこにあるのは、ストイックな軸を持ちながらも柔軟に生まれ変わり、自らをアップデートし続ける挑戦者の姿だ。不安定で変化の激しい時代を生きる私たちにこそ、挑戦者・山下智久の生き方が必要なのかもしれない。
文=本永真里奈
配信情報【Hulu】
Huluオリジナル「挑戦者・山下智久」
※Huluにて全話独占配信中
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