生駒里奈の淡々とした演技が印象的!西畑大吾主演のホラー映画「忌怪島/きかいじま」

「シンセカイ」プロジェクトの参加者たち
「シンセカイ」プロジェクトの参加者たち

(C)2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会

あらすじでも少し触れたが、この映画は全体的にホラーの王道ともいえる形態をとっている。というのも、日本映画において人々がイメージしやすいホラーといえば「呪怨」や「貞子」で、どちらの映画でも特定の場所やモノから霊が出現する。閉鎖された島で赤い鳥居を出入口に歴史上の祟り神ともいえる女が出現する本作も邦画史で著名なホラー作品を踏まえた形態を踏襲しているといえる。

その中でオリジナリティの要素の一つであるのが、「シンセカイ」プロジェクトだ。仮想空間を作るこの計画では、脳のデータを基に他人の体験を追体験できる。非科学的な霊という事象に対して現代的なヴァーチャルな要素を組み込んでいるのは新たな試みといえるだろう。

■主人公でもない、特別な存在

劇中でプロジェクトメンバーは五人出てくる。その中でも主人公の片岡を除き、四人の内二人は亡くなってしまう。生き残ったメンバーの中でも異彩なのが生駒里奈が演じる深澤未央だ。というのも生き残りの中でも深澤以外は一度はイマジョに襲われている。深澤だけが全くの無傷なのである。この異端的立ち位置を生駒は等身大の姿で演じている。襲い来る霊にパニックになりすぎることもなければ、少し変わった性格の片岡にも優しく接している。と思えばイマジョを仮想世界に引きずり込んだ片岡が出入口がないと帰ってこられる保証がないにも関わらず、出入口の鳥居を燃やしてしまう。作中でパニック気味になり非日常的芝居をするキャラクターが多い中、生駒はどこか現実的に淡々としていた。特段、セリフが多いわけでもないが多くのコマで姿が映っているので、ホラーという圧倒的非日常の中でさながら現実の延長のように滞在する生駒の存在に注目しながら、夏の一体験として観てみて欲しい。

文=田中諒

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放送情報【スカパー!】

忌怪島/きかいじま
放送日時:9月1日(木)21:00~
放送チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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