二階堂ふみが苦悩を声に込めた演技を見せ、長谷川博己との禁断の恋に落ちる映画「この国の空」

(C)2015「この国の空」製作委員会

とはいっても里子は19歳、情動によく揺れ動く若者である。そんな時代的苦悩と情動的苦悩に揺れる姿を二階堂ふみはまるで当時を生きていたかのように提示する。その中でも印象的なのが「声」だ。この作品で里子は時々歌を口ずさむ。また、最後にはエンドロールと共に詩を詠む。内容に意味があるのは確かだが、その時代と若さに翻弄される悲壮感がありつつもどこか女としての芯を感じるその声が作品に彩りを与えている。

勿論、声以外の芝居も注目すべきだ。里子は劇中で市毛に想いを募らせ、母から「女」になってきたと言われる。この「女」には様々な意味が込められていることは2人が河原で話す場面をみればわかり、それは色恋や結婚といった色欲的側面を含んでいる。二階堂の芝居を観ていると徐々に市毛をみる目や振る舞いが何処か熱っぽいことがよくわかるのだ。それは情熱的に相手を求めるということよりも身体全体から出される気のようなもので、これは是非、本編を観て感じてみて欲しい。

文=田中諒

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放送情報【スカパー!】

この国の空
放送日時:9月20日(金)6:15~
放送チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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