16歳の山下智久がナチュラルな演技で等身大の高校生を好演！楳図かずお原作の「ロング・ラブレター～漂流教室～」

本作で山下が演じているのは、暁生が担任を受け持っている2年C組の男子生徒・大友唯だ。茶髪のウルフヘアにアメカジスタイルといった、2000年代前半に大流行したファッションをクールに着こなす山下は、授業中も寝てばかりの"無気力系男子"・大友を気だるげな雰囲気で好演。校内でもかなりのモテ男で、終業式の最中に後輩の女子グループから「イブの夜、何するんですか！？」と話しかけられるほどの人気ぶりだ。冬休み中の過ごし方を「麻雀。麻雀して風呂入って寝る」と無愛想に答えても黄色い声で騒がれるほどの憧れの存在として描かれている。当時まだ10代ながら、次代を担うアイドルとして注目を集めていた山下は、圧倒的なビジュアルによって、大友のイケメンぶりに確かすぎる説得力を与えている。

突如として日常から切り離され、学校の中で限られた食糧を仲間と分け合わなければならない状況におかれても、冷静さを失わない大友。山下のクールで自然体のセリフ回しによって、より魅力的な人物として浮かび上がっていくが、そんな大友をより輝かせるのが、まだあどけなさの残る18歳の山田孝之だ。

山田が演じる高松翔は、生徒たちの中でもリーダー的存在の熱血キャラ。そんな高松を圧倒的な演技力に支えられたナチュラルなセリフ回しで表現する山田に呼応するように、山下もリラックスした演技を披露。中でも、第5話で侵入者の命を奪うか否かを話し合う場面での、2人の静かな演技合戦は必見だ。

第6話では、侵入者から子どもたちをかばったことから破傷風に感染し、想像を絶する痛みにうめく暁生を楽にさせてあげたいと生徒たちが悩み苦しむシーンが待ち受けている。それまでポーカーフェイスを気取っていた大友が涙を流し、恩師を救うために立ち上がるという熱い展開の中で、山下は唇を結んだり、ため息を吐いたりと、"口元の表情"を駆使して、大友の葛藤や決意を見事に表現した。

常識では考えられない世界の中でも、人を愛する心を失わない男女を演じた、W主演の常盤と窪塚の息ぴったりの演技も見逃せない本作。彼らに待ち受ける結末の行方を、山下の演技に注目しながら見届けてほしい。

文＝中村実香

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