Season１では１話のゲストでモグライダー・芝大輔が登場するのをはじめ、東京03の豊本明長、ごがけん、ラランドのニシダ・コウキら多くの芸人が 重要な役どころで出演している。また、Season２ではタイの俳優たちが出演するなどグローバルな展開に。２シーズン通して、チャレンジしていると言えるだろう。

これまで飯豊まりえといえば、「岸辺露伴は動かない」をはじめ、ヒロインを演じるイメージが強かった。ほんわかとしていて笑顔の印象も強い。だが今回の心野朱梨は黒い服をまとい、仕事中は笑顔もなく必要最低限のことしか話さないクールなキャラクターだ。ただそんな中でも姉とのシーンだけは笑顔を見せ、話し方も優しくなる。かなり振れ幅を大きく表現しているのだ。朱梨は人の感情が見えてしまうため、極力人の目を見ないように生活している。よって人嫌いだと思われがちだが、姉とのシーンがあることで、実は本来の姿は優しく、明るい人物なのではと想像力を掻き立てられる。

そんな朱梨の姉を演じるのが松井玲奈だ。Season１では朱梨の心の支えとなると同時に過去のトラウマを思い出させる存在。Season２ではある事件に関わり失踪するキーパーソンとなる難役を表現豊かに演じている。またSeason２から朱梨の相棒役として登場するのが影山優佳。元日向坂46でサッカー好き、筑波大学出身ということから当初はその博識を生かしクイズ番組などバラエティーで活躍していたが、2024年には5本の連ドラに出演し女優として大きく花開いている。彼女が演じる刑事・滝沢美空は朱梨に反発しつつも次第に信頼へと変化させていく。

刑事ドラマの中では若手俳優が多い印象だが、しっかりとした骨太刑事ドラマに仕上がっているのは重厚な脚本のたまもの。幾重にも事件が重なり、それが複雑に絡み合っていく。その中で飯豊まりえ演じる朱梨は犯人の感情に寄り添い、心理を読み解いていくのだ。スリリングな展開と力のある役者陣の競演で見る者を飽きさせない秀逸作である。