
⒞日活
舞台となっているのは当時の川崎の工場地帯の町。新太は担任の先生(地井)から、男と見込まれ、仲間外れにされている喘息持ちの転校生・良子(鈴木典子)のことを頼まれる。病気が原因で良子がクラスの女子たちの家に招かれないことを知った新太は自分の家に遊びに来させるため、体育以外の成績が上がったら自分の言うことを聞いてほしいと親に交渉。翌日から友達とのサッカーも断り、教科書とにらめっこする日々を過ごす。そんな新太が部屋で逆立ちをしている時に入ってくるのが小松だ。松田特有の低音ボイスの言い回しで「何やってんだ?」と心配し、新太が「男の意地ってやつだよ」と答えると、"男の意地"という言葉に反応。理由は聞かず、それ以降、新太が頑張っているのを応援するようになる。
■昭和の小学生の喜怒哀楽の日々は大人が見ても感動的
放課後のサッカー。友達と忍び込む秘密基地。男子と女子の言い争い。子供に干渉しすぎず、成長を見守る先生。本作には昭和のノスタルジックな風景が刻まれている。コミュニケーションをとるために新太は良子にゴールキーパーをやらせ、ボールを何度も受けるうちに良子も想いを受け取るのだが、そんな場面にも心動かされる。しかし、良子を孤立させないようにクラスでひとり奮闘する新太はついに両親とも大げんかし、土砂降りの中を飛び出していく。松田が登場する場面は多くはないが、新太をラーメン屋に連れていったりとぶっきらぼうな優しさがなんともいい味わいを出している。中でも新太の勉強がはかどっていない様子を見て、「そろそろ、あれやった方がいいな」と提案する場面は松田優作ファンの注目ポイントである。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
ともだち
放送日時:2025年9月3日(水)8:25~
放送チャンネル:映画・チャンネルNECO
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