2026年の続編放送が発表された「VIVANT」(2023年)をはじめ、11月13日から配信が開始された「イクサガミ」では、白髪姿の剣の達人という役どころで強烈な存在感を発揮するなど、話題作への出演が続いている阿部寛。

出所した天才ハッカーを演じた「キャンドルスティック」(7月4日公開)や、殺人犯に仕立て上げられたサラリーマン役でのコミカルな演技が光った「俺ではない炎上」(9月26日公開)など、映画にも引っ張りだこ。その一つが今年2月に公開された「ショウタイムセブン」だ。

12月6日(土)にＷＯＷＯＷシネマで放送される「ショウタイムセブン」は、ハ・ジョンウ主演の韓国映画「テロ，ライブ」(2013年)のリメイク。爆弾テロ犯からの電話を受けた元人気キャスターが生放送での交渉に挑む様を99分間でコンパクトに描きながら、報道のあり方、視聴者の受け取り方を問うノンストップサスペンスだ。

国民的ニュースショー「ショウタイム7」のキャスターだったものの、ある事情から左遷された折本(阿部)は、系列のラジオ局でパーソナリティを務めていた。ある夜、生放送中に爆弾テロの予告電話が入り、悪質なイタズラだと軽視する折本だったが、その直後、近くの発電所で爆破が発生。衝撃を受けると同時に、千載一遇のチャンスだと考えた折本は、この独占スクープを手に古巣「ショウタイム7」への返り咲きを狙うが...。

阿部が演じる折本は、「俺ではない炎上」同様に、思わぬ事件に巻き込まれてしまう主人公。しかし、同時に異常事態にも関わらず降板させられた番組への復帰を目論み、犯人の要求に乗り気になっていくという狂気的な一面も孕んだキャラクターだ。

スクープをエサに番組出演をプロデューサーに持ちかける際の態度をはじめ、犯人の動機を探りつつ自首へと誘おうとする巧みな話術など、自信に満ちた高慢なキャラクター像を阿部は堂々と演じている。何事にも動じないどっしりとした佇まいやタフな表情、毅然とした口調など、にじみ出る貫禄はケタ違いだ。