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そんな中で公開されたのが、裕福な令嬢と裏社会で生きるチンピラの純愛を描いた「泥だらけの純情」だった。吉永が演じたのは外交官の娘の高校生・真美で、浜田の役は新宿のチンピラ次郎。不良に絡まれていたところを次郎に助けられた真美は、次第に彼に好意を抱いていく。
当時10代だった吉永がそれまで主に演じてきたのは、高校生など等身大のキャラクター。生活感ある"近所の女の子"的イメージで親しまれてきたが、本作の真美は次郎に惹かれ、やがて命がけの駆け落ちまで決意する、かつてないドラマチックな役柄だった。
物語が進むにつれ次郎を見る真美の目が次第に力を帯びていき、次郎への気持ちを初めて口にするシーンで吉永は、告白された側が思わず言葉を失うほどの力強さを見せつける。可憐(かれん)さの中にも芯のある役を得意とする吉永の持ち味が生きた名シーンで、それまでの清潔なイメージを壊すことなく高めた演技に圧倒される。
一方、浜田の持ち味は、純粋さの中にも影を引きずる脆(もろ)さ。何度も演じてきた不良少年役でも強さや激しさの中に弱さや悲しさを漂わせる、吉永とはある意味、逆のキャラクターを得意とした。吉永は後にそんな浜田との共演を振り返り、不器用な私の直球を巧みなインサイドワークで受け止めてくれた、と称賛している。









