©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会
一方で、磯村が演じる中川は、五郎のすぐそばで物語を支える存在だ。中川は、スープの食材とレシピを探す五郎を手伝う青年として登場する。印象的なのは、その距離の取り方である。相棒として、前に出るというより五郎の隣に立ち、同じ景色を見ながら一緒に動いていく。そのさりげない関わり方が、この役の大きな魅力になっている。完成披露イベントで磯村が、目の前にいるのが五郎なのか松重なのか、一瞬わからなくなることがあったと話していたが、その感覚は、中川という人物の立ち位置にも重なる。五郎を間近で見つめながら、その不思議さも頼もしさもまっすぐ受け止める存在なのだ。
このように3人の役割がはっきりしているからこそ、本作は人との関わりが増えても、作品の芯が揺らがないのだろう。むしろ、誰かと接する場面があるたびに、五郎という人の輪郭がよりくっきり見えてくる。人と交わりながらも、最後は自分の感覚で食と向き合う。その五郎らしさが、映画ではいっそう鮮やかに伝わってくる。本作のおもしろさは、まさにそこにある。
「孤独のグルメ」は長く、"ひとり飯"の楽しさを描いてきた作品だ。「劇映画 孤独のグルメ」は、その魅力をしっかり受け継ぎながら、そこにもうひとつの広がりを加えた。人と出会い、土地の空気に触れ、過去につながる気配を感じ、誰かに助けられながらも、食べる時間の中心にいるのは最後まで五郎自身である。映画になっても五郎は変わらない。その変わらなさが、今回はこれまで以上にはっきりと、そして少し深く見えてくる。そんな作品だった。
文=川崎龍也











