(C)2025「旅と日々」製作委員会
旅のキーマンとなるべん造を演じる堤は、はんてんを羽織り、白い髭を蓄えたビジュアルから、屋根に降り積もる雪で今にも潰れそうな宿や営む変わり者になりきっている。中でも「撮影に入る前から何度も方言指導のテープを聞いていた」というように、撮影前から完璧に叩き込んだ方言による節回しは自然そのもの。
どこかぽつねんとした佇まいも独特で、ものぐさな態度の裏に秘められた孤独、物悲しさを感じさせるかと思えば、ウンギョンとの可笑しなコンビぶりで笑わせてくれるなど、短編のタイトルロールとして深みのある存在感を示している。
また「海辺の叙景」のパートに登場する渚を演じる河合も、ブルーのブラウスを着こなす上品さや不思議な色気を纏った持ち前の引力を発揮。わずかな出演時間ながら鮮烈な印象を放っており、唯一無二の女優であることを改めて証明している。
美しい風景と共に紡がれる静謐な世界観に寄り添うような役者たちの演技が楽しめる「旅と日々」。特別なことは起きるわけではないがそれが心地よい、格別な味わいを楽しみたい。
文=HOMINIS編集部











