若手屈指の演技派・河合優実の"ブレイク前夜"の稀有な輝きが凝縮されたNHKの秀逸なホームドラマ"かぞかぞ"、坂井真紀錦戸亮林遣都らの自然体の演技も心に残る...

俳優

2

岸本家を取り巻くキャスト陣の芝居も秀逸だ。突然の病で車いす生活となった母・ひとみを演じた坂井真紀は、2人の子供の存在と自身の夢を希望へと変えていく強さと脆さを絶妙なバランスで表現。認知症を抱えた、あまりにもマイペースな祖母・芳子に扮した美保純の飄々とした存在感も素晴らしく、ダウン症の弟・草太を演じた吉田葵は、家族のムードメーカーとして作品に穏やかな空気をもたらした。そこに確かなリアリティがあるからこそ岸本家のどこかアンバランスで不器用な日常にも説得力が生まれている。

さらに本作で重要な存在となるのが、亡き父・耕助を演じる錦戸亮だ。第1話の時点ですでに亡くなっている耕助は、回想や家族の"幻視"のような存在として姿を現す。回想シーンでは、誰よりも明るく家族を包み込む"良きパパ"として軽やかな存在感を放つ。

特に印象深いのが、七実の前に耕助が現れる第6話のシーン。かつて耕助の容体が急変する直前に自分が吐いた言葉への後悔を抱える七実に対し、耕助はいつものように自然体で寄り添う。錦戸の柔らかな眼差しは慈愛に満ちていて、七実の心の鎖がほどけていく様子には胸が静かに震える。突如現れてはスッと消える、ある意味ファンタジックな存在でありながら、2人が醸し出す父娘の空気感は驚くほどリアルだ。

この記事の全ての画像を見る
次のページへ
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
Person

関連人物