【タカラヅカ】花組・明日海りおの新たな魅力が光るスペシャルステージ『Delight Holiday』

『Delight Holiday』より
『Delight Holiday』より

2019年9月、明日海りお卒業公演の幕が開く。カウントダウンに名残惜しさが募る中、タカラヅカ・スカイ・ステージでも『Delight Holiday』が早くも放映される。東京ディズニーリゾート内にある「舞浜アンフィシアター」で、昨年末宝塚歌劇団が初めてコンサートを行った、明日海りお率いる花組メンバーによるスペシャルステージだ。

出演者は明日海をはじめ鳳月杏、優波慧、聖乃あすから9名、娘役も仙名彩世、城妃美伶ら9名、計18名の精鋭だ。歌い継がれる楽曲は、ジャズ、平成のヒットソング、宝塚歌劇の作品の曲、ディズニーソング、そしてクリスマスソングと、バラエティに富みながらも親しみやすいものばかり。客席の間の通路をリフトに乗った明日海や仙名が通る時は、後方のお客さんも大盛り上がりだった。

コンサートは各コーナーごとに明日海りおの多彩な魅力が味わえる構成になっている。平成ヒットソングのコーナーでは、平成元年から1年に1曲、各年を代表する曲が選ばれ、計30曲が歌い継がれる。先日のFNS歌謡祭で雪組メンバーがDA PUMPと共演して歌った「U.S.A.」を鳳月杏中心で歌い踊る場面は必見だ。また、ディズニーソングコーナーで「A Whole New World」を歌う明日海と仙名は「これぞ理想のアラジンとジャスミン」と唸らされる夢々しさである。

『Delight Holiday』より

(c)宝塚歌劇団  (c)宝塚クリエイティブアーツ

タカラヅカコーナーでは明日海のこれまでの出演作から、日替わりで2パターンの曲が披露された。今回放映の千秋楽はAパターンで『エリザベート』より「私が踊るとき」「闇が広がる」など。ここでの素早い役者スイッチとの切り替えも明日海ならではだ。

合間のトークコーナーも明日海らしい展開。鳳月と仙名の進行による「日替わりのメンバーが明日海さんとのエピソードを語る」コーナーもあり、千秋楽ならではの盛り上がりも期待できそう。

異彩を放っていたのは、仙名ら娘役による「こたつでトーク」の場面だ。衣装の上にはんてんを着込んだ娘役4人がこたつに入って「今度のホリデーにどこに行こうか?」という相談をするのだが、仙台弁で喋りまくり、日本酒片手に「飲むか〜」と盛り上がる仙名の姿は、花組を支える素朴な力強さを感じさせる。

そして、忘れてはいけないもう一つの見どころは、ペンライトの輝きが包む「客席」の幻想的な光景だ。ペンライトはブルーとイエローの2色が切り替えられるようになっており、決まりごとがあるわけでもないのに、場面に合わせて客席のみんなで色を変えていた。まさに観客の連帯感が生み出した景色である。

「ギャップ」こそがスターの証だと常々思っているが、明日海は多くの「ギャップ萌え」を魅せるスターである。『ポーの一族』のエドガーのような永遠の少年こそハマり役と思いきや、『CASANOVA』で大人の男の色気も感じさせる。『ME AND MY GIRL』のビルで太陽のような明るさを発したかと思えば『春の雪』の松枝清顕で人の心の闇の部分にも迫ってみせる。真逆のギャップにこれまで多くの人が彼女の舞台に魅了、いや翻弄されてきた。

そこにダメ押しのごとく、もう一つのギャップ軸が追加されたのが、この『Delight Holiday』だった。タカラヅカは芝居もショーも見せる劇団だが、明日海はどちらかというと「芝居の人」だと思っていた。ところが、ここに来てとんでもないショーストッパーぶりを発揮。その手法も明日海らしく、あくまでマイペースで観客を明日海ワールドに引き込んでしまう。ほのぼのと幸せな気分になれるコンサートを楽しんでほしい。

文=中本千晶

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放送情報

『Delight Holiday』('18年花組・舞浜アンフィシアター・千秋楽)
放送日時:2019年9月1日(日)21:00~
チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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