飛鳥は、自身の才能を評価してくれたスイーツ店のオーナー・淡井に「今から1分だけ男としてカッコ悪い弱音を吐いてもいい?」と言われ、その口説き方が痛いとわかっていながら、不倫の恋に堕ちてしまう。楽しいデートを重ねるも、やがて泣きながら「パティシエとしての才能があると言ったのは嘘だったのか?」と訴えて破局することに。恋も仕事も失った飛鳥は千種に独立してお店を持つようアドバイスされるが、酔った勢いもあり、千種が思いを寄せていたトレーナーの野村と関係を持ってしまい、大切な親友まで失ってしまうことになる。その野村の飛鳥への思いも本気ではなかったことが発覚し、通っていた「ラブドック」で、遺伝子操作によって恋心にブレーキがかかる効果があるという注射を勧められる飛鳥。ピンク色の液体が入った注射器を持って迫ってくる広末の演技は、コメディ要素たっぷりだ。
過去の経験から恋をしたくても臆病になっている女性を演じているため、本作での吉田はキリッとしたカッコいい女性というイメージとは少し違う、情緒不安定な面やチャーミングな顔を覗かせる。パティシエのピンクの制服や年下の男の子と恋をした時のパンキッシュなスタイルなど恋のトキメキをイメージさせる飛鳥のファッションもチェックポイントだ。
■恋はカッコいい大人の女性になるための処方箋?
独立して仕事は絶好調。名物のケーキの問い合わせが殺到するほどになるが、恋の方は傷つきたくないという思いが邪魔して、相変わらず低空飛行。そんな飛鳥は40歳にして15歳年下の星矢(野村)にアプローチされて再び恋をすることになるが、カッコ悪い自分を許せなくて、本当の気持ちを隠そうとして自分から別れを告げてしまう。歴代の彼氏たちにも親友にも素直になれず、殻を破れなかった飛鳥がついに自分の本音を、涙を流しながら爆発させる後半のシーンでは、吉田の熱演が見応えたっぷり。本作のテーマは「人生に無駄な恋なんてない」。仕事に奮闘し、恋をしてボロボロになりながらもカッコいい女に成長していく飛鳥を、吉田が魅力的に演じている。
文=山本弘子
放送情報
ラブ×ドック
放送日時:2023年1月12日(木)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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