大坂なおみ選手、真価が問われるウィンブルドンの大一番

錦織圭、大坂なおみ 写真:アフロ

7月1日(月)より開幕するグランドスラム(四大大会)の第3戦、ウィンブルドンを間近に控え、世界ランキング2位(2019年6月27日時点)と順位を落とした大坂なおみ。世代交代が著しい女子テニス界にあって、今大会でも第2シードとなった彼女だが、果たして日本人初のウィンブルドン・チャンピオン誕生となるか――この大一番を前に改めてその躍進を振り返ってみたい。

大坂は、プロツアー出場資格が得られる14歳からツアー下部大会に出場すると、16歳という若さでプロに転向し、18歳の2016年全豪オープンは四大大会初出場で3回戦に進出。2017年の全米オープンでは、1回戦で前回覇者のアンゲリク・ケルバーを破るという番狂わせを起こし、自身としてもトップ10の選手に初めて勝つなど、著しい成長を遂げてきた。

2018年の全米オープンでは、サービスキープ率92%という安定感抜群のサーブを武器に、失ったセットは全試合でわずか1つという圧倒的な強さを見せ四大大会を初制覇。決勝では、セリーナ・ウィリアムズ相手に、序盤から一歩も引かない積極的な攻めのテニスで、相手のミスを誘発。審判の判定に不満なセリーナがラケットを壊し、暴言を吐き、会場内にブーイングが吹き荒れるという波乱の展開の中でも、集中力を切らすことのなかった大坂のプレースタイルが高く評価された。表彰式で見せた、涙ながらに語った健気な彼女のスピーチは、いまだ鮮烈な記憶として刻まれている人も多いのではないだろうか。

続く2019年の全豪オープンも制した大坂。全7試合で18セットを戦い、出場選手中トップとなる59本ものサービスエースを決めた彼女だが、それに加えてリターンでも強さを発揮。総リターンポイント数、1セットあたりのリターンポイント数で、全選手のトップとなる成績を残し、準決勝のカロリナ・プリスコバ、決勝のペトラ・クビトバと強サーバーも攻略。オールラウンダーとしての成長を見せ、史上6人目となる四大大会初優勝からの2大会連続優勝という偉業を18年ぶりに達成してみせた。

世界ランキングも1位に上り詰め、グランドスラム3大会連続優勝というプレッシャーの中、臨んだ今年の全仏オープンでは、3回戦敗退と振るわなかった。初戦、2回戦とも接戦で肉体的な疲労を蓄積したうえ、第1シードにかかる重圧やストレスなど、様々な要因が挙げられているが、そもそも全仏は、ハードコート育ちで高速サーブや強打が武器の大坂にとっては苦手とするクレーコート。2017年は1回戦、2018年も3回戦敗退と、相性は決していいとはいえない。

一方、クレーコートと同じく課題とされているのが、ボールがイレギュラーな動きをしやすい芝のグラスコートだ。芝への苦手意識は本人も認めており、球速の速いコートに慣れコンディションを整えるべく、ウィンブルドンの前哨戦にあたる「バーミンガム・クラシック」(6月17~23日開催)に出場したものの2回戦敗退。とはいえ、芝は本来、彼女の高速サーブが活きる好相性のコートともいえるので、ウィンブルドン女王の座も可能性は十分にあるといっていい。

S・ウイリアムズ、ジョコビッチ、フェデラー、ズべレフ、ナダル Getty Images、クビトバ 写真:AFP/アフロ

ウィンブルドン最大の見どころとしては、37歳になっても安定した強さを見せる"芝の帝王"ロジャー・フェデラー(スイス)に加え、王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、全仏オープンを制したラファエル・ナダル(スペイン)という"トップ3"による熾烈な優勝争い。また、昨年初のベスト8進出を果たした錦織圭も、さらなる進化を遂げ、伝統のウィンブルドンでどんな勇姿を見せてくれるのか?今シーズン、波に乗る若き世界ランキングトップ10勢の活躍ぶりなど、今年のウィンブルドンの見どころは尽きない。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

ウィンブルドンテニス
放送日時:2019年7月1日(火)18:45~ ほか
チャンネル:WOWOWプライム、WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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